家賃収入を夢見てせっかく立てたアパートなのに、空室だらけで入居者が集まらない。そんな悩みを抱えているアパートオーナーも少なくないでしょう。入居者はアパートオーナーが考えるよりもシビアで現実的です。
入居理由には間取りや家賃、そして立地条件は言うまでもなく、設置されている設備や安全性、清潔感など様々な面から入居判断をしています。となれば空室が多いのは現状に何かしらの原因があると考えるべきでしょう。
そこで今回は空室対策を検討するアパートオーナーの人たちに、入居率を上げるためのポイントを簡単に説明していきたいと思います。
入居率を上げるコツ
近年の賃貸住宅事情は借り手市場の傾向にあり、入居者の獲得・維持にはアパートオーナーの努力と手腕が求められる時代です。不動産投資で失敗しないためには入居率をキープし続け、決して入居率を落とさないことが第一に求められるので、結果はアパートオーナーの経営力次第とも言えます。
そこで実際にアパート経営に成功しているアパートオーナーたちが、入居率を上げるために行っていることを紹介していきましょう。
物件価値を上げる
すべての入居者はできるだけいいところに住みたいと考えていますが、何を持っていいところと判断するのかは人によってそれぞれです。しかし、いいところと感じてもらうためにまず必要なのが物件の魅力と価値を向上させることです。
特に古い物件であれば下記のような点がマイナスイメージとなり、物件の魅力と価値を一気に引き下げてしまいます。
- 壁のシミや汚れ
- 古ぼけた照明
- 古ぼけたトイレ
- 古ぼけた浴室
これらは決して気持ちのいいものではなく、一気に内見者の気持ちを冷めさせてしまいます。
室内の外観や内装装飾をリノベーション、またはリフォームすれば確実に物件の魅力と価値は上がってきます。人の好みにもよりますが、まずは時代のニーズに応じた物件であることが万人受けするための最低条件となってくるのです。
投資費用は必要となりますが、間取りや設備を変更すれば受ける印象は大きく変わり、今の入居者が求めるニーズにあった魅力と価値を持つ物件にすることができます。
それでは下記の3つに分類して成功事例を紹介しておきましょう。
- 間取り変更
- 設備変更
間取り変更
2Kを広めの1Kに間取り変更
洋室と和室の2Kを広めの1Kに変更し、和室をフローリングに変更。
古い3DKを2LDKに間取り変更
近年の広いリビング人気に目を付け、洋室2、和室1、DKのうち洋室1つをDKと繋げてLDKに変更。
設備変更
古いファミリー物件の各部屋にエアコン設置
部屋数が多い物件はリビングのみにしかエアコンが設置されていない
プロパンガスを都市ガスに変更
ポータルサイトでは都市ガス項目があり、プロパンだとはじかれてしまう
風呂の追い焚き機能を設置
ファミリータイプの物件に追い焚き機能を設置して水回りを新しく変更
無料Wi-Fiの提供
若い世代の入居者には必需品
家電3点セットを設置
築14、5年の古い物件にテレビ、冷蔵庫、レンジを設置し、すぐに生活できる設備・環境を整える。
入居条件を緩和する
エグゼクティブなマンションならば入居条件が厳しいのも頷けますが、そうでない場合は厳しすぎる入居条件は入居者を遠ざけるだけとなります。そこでまず確認してもらいたいのが現在の入居条件です。
入居条件に合わなかったため、入居できなかったというケースは意外に少なくありません。下記のように入居条件を緩和することで入居対象者の幅を広げることができるのです。
- ペット可にする
- 高齢者を受け入れる
また下記のような金銭面の緩和もひとつの手です。
- 家賃を下げる
- 敷金なしにする
- 礼金なしにする
特に近年は「敷金・礼金なし」という物件が増えてきています。まずは近隣の賃貸住宅がどう対応しているのかを調査した上で対応を検討してみるのもいいでしょう。
募集方法は幅広く
いくら物件の魅力や価値を上げても、まずは入所希望者が内見に来ないことには入居は決まりません。内見者の増大こそが満室経営に必要不可欠なピースとなってくるのです。そこで物件価値を上げるのとともに必ず行って欲しいのが募集方法の改善です。
一般的には仲介業者を介して入居募集を行いますが、その方法は下記のどちらかになります。
- 一般募集 複数の仲介業者に入居募集依頼をする
- 専任募集 入居募集窓口を1つの仲介業者に限定する
まずはこれら募集方法の方法のメリット・デメリットをよく理解した上で、現状効果が出ていないのならば募集方法を変えるとか、依頼先の仲介業者を変えるといった改善策が必要となってきます。
一般募集のメリット・デメリット
それでは一般募集の入居者獲得におけるメリット・デメリットを簡単に説明しておきましょう。
一般募集のメリットは下記のとおりです。
- インターネット上での物件情報掲載が多く、依頼件数に比例して募集窓口が広がる
- 仲介手数料が必要となるため、広告料の支払いなしで募集が可能になる可能性がある
- 集客力の高い仲介業者を数多く抱えることができる
- 仲介手数料目当てに積極的な募集活動が期待できる
またデメリットは下記のとおりとなります。
- 他業者が入居者を決める可能性があるので、本気で募集してくれない可能性がある
専任募集のメリット・デメリット
それでは次は専任募集の入居者獲得におけるメリット・デメリットを簡単に説明しておきましょう。
専任募集のメリットは下記のとおりです。
- 専任であるため依頼先業者が責任を持って防臭活動を行ってくれる
- 集客力の高い他業者に営業してくれる
またデメリットは下記のとおりとなります。
- 業者が物件情報を抱え込んでしまい、空室が埋まらない可能性がある
- 信頼できる業者でないと被害に遭ってしまう可能性がある
この2つの募集方法にはそれぞれメリット・デメリットがあるので、どちらがいいかは断定できません。しかし、入居募集を行っているのに空室率が下がらないのは仲介業者の集客力が低いか、説明した各デメリットが原因となっている可能性が考えられます。
空室率を避けるためにも、効果的な入居募集が行えているのかを再確認してみましょう。
物件の魅力を効果的にアピールする
入居者が求めるポイントは人それぞれです。下記のように単身か家族かで求めるものは大きく違ってくるのです。
単身者が求めるポイント
- 別件周辺に大学や専門学校などの教育施設が多い
- 物件周辺にショッピングや映画館、飲食店などが充実している
- 物件が駅の近くにある
- 物件周辺に学生寮や社員寮がある
- 物件周辺に病院やホテルなど時間を問わず開業している建物がある
- 物件近くに大家が住んでいる
家族が求めるポイント
- 物件周辺に小中学校などの教育施設がある
- 緑が多い閑静な立地条件である
- 中心街にアクセスしやすい公共機関が近い
- 日常の買い物に便利な立地条件である
- 管理を管理会社に委託している
また年代だけでなく職業や生活スタイルによっても求めるポイントは大きく違ってきます。そこで物件の長所をしっかりとアピールすることで、その長所を求めているターゲット層を獲得できます。
物件のアピールポイントは何なのか、そしてそのアピールポイントを求めているターゲット層は何になるのかをしっかりと把握し、それを魅力として効果的にアピールするようにしましょう。
テナントレテンションにも力を入れる
入居率を上げて満室経営を目指すならば新たな入居者獲得ばかりではなく、入居者の満足度を上げて居住期間をできるだけ長くすることが必要不可欠です。この取り組みを「テナントレテンション=入居者維持」と呼びます。
入居者募集のために物件の魅力や価値を高めたとしても、それが維持できなくては入居者は離れていきます。管理がずさんで下記のような状況ともなれば、居住し続けたいと思う人はいないでしょう。
- 掃除が日常的に行われていない
- ゴミ等が散乱している
- 迅速なクレーム対応がない
そこで重要となってくるのが物件管理。アパートオーナー自らが物件管理を行っているケースも少なくありませんが、入居者の満足度を上げるためにも専門の管理会社に任せてみるというのもひとつの方法です。
入居率を上げるのは入居者を集めるだけでは事足りません。入居後の居住期間の維持も入居率を上げるのに欠かせない手段であることをしっかりと理解しておきましょう。