近年よく目にするようになったトランクルーム。最初は単なる貨物コンテナくらいにしか思っていませんでしたが、今では家で収納しきれない荷物の保管所としての認知度が高くなり、その利用者も年々増加傾向にあります。
それもあってか現在はトランクルーム経営が有益な土地活用方法の一つとして注目されるようになり、トランクルーム経営に乗り出す人も多くなってきました。
トランクルーム経営は失敗の少ない土地活用ビジネスとしても注目を集めていますが、だからといって失敗がないわけではありません。失敗しないためのポイントをちゃんと押さえておかなければ失敗に終わってしまいます。
そこで今回はトランクルーム経営で失敗しないために押さえておいて欲しいポイントや、成功の秘訣について解説します。
トランクルーム経営のポイント
それでは早速トランクルーム経営で失敗しないために抑えておいて欲しいポイントを解説します。
そのポイントは下記のとおりです
- 初期投資と回収期間に注意
- 今後トランクルームが過剰になることも
- 成功するためには利用者目線が重要
- どの経営スタイルを選ぶか
それでは各ポイントを見ていくことにしましょう。
初期投資と回収期間に注意
トランクルーム経営は土地活用ビジネスの中でも投資費用が少なくて済むのが1つのメリットですが、かと言って決して安価なものでありません。
トランクルーム経営で必ず必要となってくるのがコンテナですが、一般的に利用されている20フィート(約畳8畳)コンテナ一基の購入費用は約500万円、そこにあらゆる設備をプラスすれば費用は100万円前後にも登ります。
確かにアパートやマンション経営に比べればその投資費用には大きな差が出てきますが、トランクルーム経営にしても10基のトランクルームを設置するとなれば約1,000万円もの投資費用が必要になります。
もちろん何基のトランクルームを設置するのかによって最終的な投資費用は大きく変わってきますが、投資費用がかからないトランクルーム経営といっても、これだけの費用が必要になるのですから決して安上がりな投資費用とは言えないでしょう。
そこで気になってくるのが回収期間。回収期間が済めば収益をすべて利益にできるので、投資決断をする上で重要なポイントとなってきます。
トランクルーム経営の利回り
そこで回収期間を予測するための判断材料となるのが利回り。利回りとは投資額に対する年間利益の割合を示したもので、この数値が高いほど投資費用の回収期間は短くなってきます。
トランクルーム経営の利回りは15%~35%と言われており、この数値だと3年から6年程度で投資費用は回収できることになります。トランクルーム経営のメリットはこの利回りがいいところです。
アパートやマンションの不動産投資の利回りは10%くらいが平均値で、この利回りが確保できれば十分に投資価値があると言われています。となれば最低でも15%のトランクルーム経営が利回りがいいと言われるのもうなずけますよね。
利回りが高いことが利益が高いことにはならない!
しかし、誤解して欲しくないのは利回りがいいことが、必ずしも利益が高いことを意味するわけではないという点です。トランクルームの家賃は5,000円から10,000円とアパートやマンションの家賃とは比べ物にならないほど低料金です。
確かに利回りがいいので投資回収を迎える時期が早いので、早期に利益率を高めることができます。ですがその利益は下記のようにアパートやマンションと比べれば低いため、20年、30年と長期で事業計画を考えた場合は、トランクルームよりもアパートやマンションの方が得られる利益は高くなります。
(家賃80,000万円の部屋が6部屋のアパート)
家賃収益 =80,000円 × 6部屋
=480,000円
(家賃8000円の部屋が6部屋のトランクルーム)
家賃収益 =8000円 × 6部屋
=48,000円
トランクルーム経営を手がける際には、この点をよく理解しておく必要があります。
今後トランクルームが過剰になることも
トランクルーム市場規模は年々拡大しており、ここ10年間は下記のように急速な拡大傾向を見せています。
- 2008年度 約250億円
- 2016年度 約500億円
このままで行けば2020年度の市場規模は約700億円のも上ると予測されており、今後もトランクルーム経営への参入者が拡大していくことは周知のとおりです。
そこで念頭に置いてもらいたいのが、近隣にトランクルームができて売上が激減する可能性がある点です。トランクルームは一度契約すれば長期間の貸借契約が期待できると言われていますが、それでも近隣に現状よりも条件のいいトランクルームができれば、そちらに流れていくのが自然です。
競合する相手もいないからと利用者目線を考えず、利益優先で多くのコンテナを設置し、その結果、近隣に利便性が高く利用者目線にあったトランクルームが開店して利用者が激減してしまうケースも見られます。
トランクルームが繁盛するということは、その近隣にニーズがあることを示しますので、将来的にはいくつものトランクルームが参入してくる可能性があることは忘れることなく念頭に置いておきましょう。
成功するためには利用者目線が重要
トランクルーム経営はコンテナを並べておけば大丈夫というものではありません。将来的な新規トランクルーム参入に対する予防策だけでなく、現状の集客拡大のためにも利用者目線を考えた設備投資が必要になってきます。
アパートやマンションのように居住するためのものではありませんから、この点はそれほど気にしなくてもいいという声もあります。しかし、今後供給過多になる可能性を考えれば、いかに利用者にとって魅力やメリットがあるものでなければ利用者は増えることなく激減する一方でしょう。
そこでトランクルーム経営を成功させるために欠かせないのが、利用者目線に立った設備投資とPR。
現在、一般的に利用者目線に立った場合に必要となる設備は下記のとおりです。
- エレベーター
- 踏み台
- 台車
- 室内空調
- 温度計、湿度計
- 二重カギ
- 警備会社等による警備システム
- 防犯カメラ
- 照明設備
- 車の乗り入れが可
- 駐車場
- トイレ
- 自販機
どのような設備があり、どれだけ利用者の満足度を満たせるのかのPRが重要です。また看板やチラシ等の広告には利用者が一番気になる料金をはっきりと明記するのもお忘れなく。
どの経営スタイルを選ぶか
トランクルーム経営と一口に言っても、現在の運営形態は下記のように様々です。
- 自己経営タイプ 開業から会合後の管理まで全てを自分で運営
- 業務委託タイプ 集客と管理業務を運営会社に一人
- 一括借上タイプ 運営会社にトランクルームを一括借上してもらう
- 定期借地タイプ 開業資金、運営を任せ、借地代とプラスアルファの支払を受ける
中には自己経営タイプで運営する人もいますが、トランクルーム経営で一番多いのは一括借上タイプです。トランクルーム経営はよほどの知識がなければ素人が簡単に成功できるものではないと言われています。自己経営で運営していくのはかなり無理があるのが実情です。
よって、管理会社や運営会社に頼った運用方法となりますが、どの方法を選ぶのかによって投資費用や毎月の収益が変わってきます。どの運営方法を選ぶのかは専業とするかどうかでも違ってきますが、運営方法は収益性に大きく関係してきます。
ご自身の状況に合わせた費用対効果が一番高い運営方法を選ぶことが、トランクルーム経営成功の可否を分けるところとなります。どの運営方法を選ぶのかは慎重に検討するようにして下さい。
まとめ
トランクルーム経営は投資負担が軽く利回りの高い投資活用ビジネスですが、アパートやマンションのように決して大きな利益が上がるものではありません。しかも、簡単に思える運営も利益重視では利用者確保も難しいのが実情です。
今後もトランクルーム経営は参入者の増加により熾烈を極めたものとなることが予測できます。その際の市場競争に負けないためにも利用者目線を大事にした顧客重視の経営が必要となってくるでしょう。