親からの相続で田舎に土地を持つことになったという話は珍しくありません。土地を譲り受けるとなれば通常ならば嬉しがるところなのでしょうが、その土地が田舎にあるとなれば話は別です。
田舎を車で走るとよく見かけるのが、雑草の茂った空き地に「売り地」と書かれた看板が立てられている光景。田舎の土地は有効活用ができないことが多いため、最終的には売却に出されるのですが、それでもなかなか買い手がつかずにそのままとなっているケースは少なくありません。
毎年固定資産税を払いながら、売却できるのを待つ人も多いことでしょう。しかし、有効活用ができないと言われる田舎の土地でも、収益性の高いビジネスに運用することができます。
その土地活用ビジネスが太陽光発電です。今回は、この太陽光発電が田舎の土地にいかに適しているのかを、ほかの土地活用と比較しながら解説していきます。
主要な土地活用ビジネスを田舎でやることのデメリット
一般的な土地活用ビジネスといえば下記の2つが挙げられます。
- 建物を建てて貸す
- 土地を貸す
しかし、これら土地活用ビジネスは利用者需要があってこそ成り立つビジネスです。そこでこの2つの土地活用ビジネスを田舎でやるとどうなるのかを見ていくことにしましょう。
建物を建てて貸す
土地活用ビジネスで最もポピュラーなのが上モノの建物を賃貸物件として賃料を収益とする方法です。賃貸物件には下記のようなものが挙げられ、新規物件建築となれば高額な投資費用が必要となります。
- アパート、マンション
- 戸建住宅
- ペンション、貸別荘
- 高齢者向けサービス付き住宅
田舎という特性からこれら賃貸ビジネスを行うには、下記のデメリットが予測されます。
- 十分な入居者が確保できない
- 施設運営に必要な人材確保が難しい
このデメリットが次に解説するように、賃貸ビジネスには大きな妨げとなります。
一般居住住宅への影響
田舎といえども全く人が住んでいないわけではありませんから、交通の要所となる主要駅の周辺であれば、アパートやマンション、戸建住宅の入居者を確保できる可能性はあります。しかし、元から人口が少なく需要が高くないことを考慮に入れておくことが必要です。
大学や工場など、外部からの人口流入による入居ばかりを期待していては、それら施設の撤退や縮小により大幅な収益減となるリスクが伴ってきます。これら一般居住施設は需要がなければビジネスとして成立ないので、いかに外部からの人口流入があるかが鍵となってくるでしょう。
特定施設への影響
ペンションや貸別荘は、近隣にレジャー施設やリゾート施設などの観光客の集客効果が期待できる環境であれば、ビジネスとして成立する可能性はあります。しかし、これも一部特定地域に限定されるので、田舎を楽しんでもらうといった趣旨ではビジネスとして成功する可能性は低いと言わざるを得ません。
また環境面からも、高齢者向けサービス付き住宅には適しているのですが、この事業は更に莫大な投資費用が必要となるため、個人による土地活用ビジネスとしては考えにくいのが実情です。しかも、運営のための人員確保ができるかも問題となってくるでしょう。
土地を貸す
土地活用ビジネスで一番投資費用がかからないのが土地の貸出です。土地に建物が建っていなければ基本的には投資費用ゼロでビジネスを始められます。
その主な土地活用ビジネスは下記のとおりです。
- 事業用地
- 資材置き場
- 駐車場
これらは企業等からの需要があれば田舎であっても、十分ビジネスとして成り立ちます。しかし、田舎でということになれば下記の条件をクリアできる事業に限定されてきます。
- 広い敷地が必要
- 公共交通機関の利便性を問わない
- 比較的場所を問わない事業であること
よって資材置き場や、先程話にも出た高齢者向けサービス付き住宅ならば、十分に田舎でもニーズは出てくるでしょう。しかし人口の少ない田舎では、住宅集合地でもなければ駐車場としてのニーズはまずないと考えと方が賢明です。
土地を貸すにしても、上記条件を求める事業者や企業が出てこないことには、簡単に成立するビジネスではないと断言できるでしょう。
野立て太陽光発電について
ここまで解説してきたように、一般的な土地活用ビジネスを田舎の土地で成功させるのは難しいとしか言いようがありません。冒頭で言ったように、結局のところ売りに出して買い手がつくのを待つケースが多くなってくるでしょう。
しかし、そんな田舎の土地でも成功する可能性の高い土地活用ビジネスが「太陽光発電」です。太陽光発電は、通常の土地活用ビジネスでは失敗要因と言われているものが、逆に成功するために必要な条件となってきます。
よって、遊休地となっている田舎の土地は太陽光発電ビジネスにとっては有益な立地環境となり、土地活用ビジネスとして十分な収益が期待できることから注目が集まっているのです。
田舎は野立て太陽光発電に最適
太陽光発電といえば、住宅の屋根に設置されているものを想像すると思いますが、屋根ではなく地面に設置する野立て太陽光発電もあります。この野立て太陽光発電は、太陽光発電による売電を目的とした事業者がビジネス目的で行うケースも多く、その際には広い土地が求められます。
この点においても、農業離れが深刻化している日本では、田舎に耕作放棄地や遊休地が多く見られるため、その土地を有効活用できることから田舎の土地は太陽光発電ビジネスに最適といえます。
またビジネスにおいて考えた場合、投資費用をいかに抑えて利回りを高くするのかが、収益性を上げるためにも必要不可欠となってきます。太陽光発電事業者が用地購入時に目安とする金額は1万円/坪です。都市部でこの条件をクリアするのは至難の業ですが、田舎であれば不可能ではありません。
用地購入費が安く抑えられるのも、田舎ならではの特典となります。事業者が田舎に用地を求めるのには投資費用の問題もあるということです。
田舎は太陽光発電に適した環境であるケースが多い
田舎は広い土地が安価で購入できるだけでなく、太陽光発電ビジネスで成功するための下記条件を兼ね揃えているケースが多いのも事実です。
- 周囲に遮蔽物がない
- パネルを南向きに設置できる
- 日射量が多い
- 日照時間が長い
太陽光発電に適した環境にある土地を見つけたとしても、発展性のある地域では、将来的な環境の変化によって太陽光発電に不向きな条件に変化しないとも言い切れません。しかし、これが田舎であればその可能性は大幅に減少します。
太陽光発電の利回りは10%が目安となり、10年で投資費用の回収が可能と言われています。そして国の固定価格買取制度で20年間、固定価格での電力買取が保証されているので、投資費用が回収できた後の10年間がこのビジネスの稼ぎ時です。
となれば、最低でも20年間は当初の環境条件を維持できることが好ましいのは言うまでもないでしょう。この点においても、大幅な地域発展による環境変化が期待できない田舎は、まさに太陽光発電ビジネスを始めるのに打って付けの条件を備えていることになります。
土地の流動性が問われない
さきほど言ったように太陽光発電ビジネスは最短でも20年という長期ビジネスとなってきます。最低でも10年間の継続がなければ投資費用を回収することもできません。よって、長期に渡って土地の流動性は下がるというデメリットが出てきます。
途中でその土地に家を建てるなど、ほかの用途に利用することができません。しかし、田舎の場合には遊休地を用地利用するため、流動性が下がったとしてもそれがデメリットとなる確率はかなり低くなってきます。
相続等で土地を所有することになった人にとっては、土地活用ができず頭を悩ます存在でしかありませんから、逆に流動性が下がるのは願ったり叶ったりの状態と言えるでしょう。
まとめ
土地活用に頭を悩ます田舎の土地も、太陽光発電ビジネスにとってはこの上なく好条件を兼ね揃えた特上物件となります。
近年は売電価格の減額が指摘され、利回りを不安視する人も少なくありません。しかし、その分、投資設備の購入価格が下がっているため、10%の利回りは依然として期待できるビジネスです。
所有している土地が田舎にあり、遊休地となって売却されるのを待っているだけなら、この野立て太陽光発電のビジネスを検討してみるだけの価値は十分にあるでしょう。また、自分でビジネスに携わらず、太陽光発電事業者へ売却するという道もないではありません。
どちらにしても一般の土地活用ビジネスでの収益が期待できない田舎の場合、この太陽光発電ビジネスが大きな救いとなる可能性を秘めていることに疑いの余地はありませんね。