相続税対策として土地活用は有効なのか?

相続税対策として土地活用は有効なのか?

家族に残せる多額の資産があるなら、なるべく早くからやっておきたいのが相続税対策です。相続税対策には暦年贈与や生前贈与も有効ですが、それでも相続税が心配なときには土地活用による相続税対策をおすすめします。

とはいえ、やみくもに土地活用を行っても相続税対策にはなりません。生前からやっておきたい、土地活用による有効な相続税対策について紹介します。

建物を建てる土地活用は有効

相続税は、被相続人(亡くなった人)の持っていた資産の総額が相続税控除の金額を超えたときに支払い義務が発生します。

相続税の控除額は「基礎控除3,000万円+(法定相続人の数×600万円)」です。法定相続人が3人の場合には、遺産総額が4,800万円以下であれば相続税がかかりません。計算式に当てはめ、控除額以上の資産が残ってしまうようであれば、家族のためにも相続税対策は早めに行いましょう。

相続税対策として土地活用を行う時には、建物を利用するタイプの活用方法が最適です。その3つの理由についてみていきましょう。

建物評価額が安くなる

現金で持っている5,000万円を建設費に充てると、建物評価額は5,000万円よりも安くなります。

現金はそのまま現金としての価値がありますが、建物にすることで「固定資産税評価額が建物の価値」となるからです。

固定資産税評価額は、各自治体が「固定資産評価基準」に基づいて算出します。固定資産税評価額にはばらつきがあるため一概に「建設費の何割落ち」とは言えませんが、おおよそ40~50%ほどまで下がると言われています。

5,000万円で建てた建物も、固定資産税評価額では2,000~2,500万円まで下がり、その分表面的な資産を減らすことができるということです。

もし建設中に亡くなってしまった場合の評価額は建築費の70%ですので、建物が完成する前でも相続税の節税効果は十分にあると言えるでしょう。

建物がアパートやマンションだった場合には、さらに評価額が下がります。貸家の評価は固定資産税額の70%と決められているからです。

先ほど例に挙げた建物がアパートやマンションだったときには、固定資産税評価額2,000~2,500万円の70%、1,400~1,750万円が資産の評価額となります。

これにより、多額の相続税を回避し、さらに貸家による安定した収入も見込めるようになります。

土地評価額も安くなることがある

建物だけではなく、土地の評価額もケースによっては下がることがあります。相続の対象となる土地の価格は公示価格の80%程度になります。

もし土地購入時と公示価格が同程度であっても、資産額は20%落ちで計算されるということです。

例)
2億円で購入した土地の公示価格が1億8千万円だったとき、相続税の対象となる資産は1億4,400万円となる。

建物と同じく、土地も上に貸家が経っていれば「貸家建付地」として評価額が減額されます。減額される割合は自治体によって異なり、一概にいくら減額されるとは言えません。

貸家建付地の減額割合は以下の計算式で求められます。

「借地権割合(30~90%)×借家権割合(30%)×賃貸割合(賃貸面積の割合)」

例えば面積すべてを貸し出しているアパートの場合、賃貸割合は100%、借家権割合は30%、建物のある土地の借地権割合が70%だったときには、減額率は21%です。

これを上記の土地に当てはめると、2億円の土地は公示価格の20%減、さらに貸家建付地による減額で資産額は1億1,367万円になります。価格は約半分までに落ちていますから、大きく節税できることがわかります。

小規模宅地等の特例が使えるケースも

小規模宅地等の特例とは、被相続人が住んでいた住宅を相続する者に対して相続税を減税するという特例です。

この特例に該当すると、土地の評価額が80%減額されます。特例に該当するのは、被相続人と敷地面積330平方メートル未満の住宅で一緒に暮らしていた配偶者または親族です。

例えば、被相続人と一緒に暮らしていた家族が、そのまま住宅を相続したとき、1億円の価値がある土地の評価額は2,000万円にまで減額されます。

その他、小規模宅地等の特例では被相続人が事業に利用していた特定事業用宅地を事業ごと継承するときには、住宅と同じく80%の減額が400平方メートルまで、貸付事業用宅地は200平方メートルまでが50%減額されます。

このときの特定事業用宅地とは、被相続人が経営していた個人商店などがあてはまります。貸付事業用宅地には、被相続人が経営していたアパートのほか、駐車場や駐輪場も含まれます。

相続税対策でおすすめの土地活用

このように、現金資産を土地や建物に変えてしまうことで簡単に相続税対策が行えます。ここからは、実際に相続税対策として土地活用を始めるのなら、どのような活用法がいいのか紹介します。

アパート経営

相続税対策の土地活用で最もスタンダードなのはアパート経営です。これまで説明してきた通り、アパート経営を行うことで土地も建物も大幅に資産額を下げることができます。

小規模宅地の特例と貸家建付地の評価減を併用する

実は小規模宅地等の特例と、貸家建付地の特例は併用可能です。両方にあてはまる土地にアパートやマンションを建設することで、減税効果はさらに高まります。

ただしどちらも適用されるアパート経営をするためには、次の点をクリアしなければいけません。

  • 土地の面積は200平方メートルまで
  • 土地と建物は被相続人の名義であること
  • 相続開始の直前から相続税の申告期限まで相続人が経営を引き継ぎ保有していること

親が子どもに対し資産を引き継がせたい場合、アパート経営を始める土地と建物は親名義で購入し、経営します。親が亡くなった後、相続税の申告期限までアパートを売却せずに所有し、経営も引き継ぐことでこれらの要件を満たすことができます。

相続したアパートをすぐに売却すると、軽減税率が受けられないので注意しましょう。

福祉施設

大規模な土地を所有している場合には、福祉施設を建設して相続税対策を行うこともできます。この場合には小規模宅地等の特例などにはあてはまりませんが、相続時は固定資産税評価額に基づき、建物分に関しては新築時の40~50%の資産額になります。

また、福祉施設は建築の際に補助金を受け取ることができますから、相続税対策をしながらお得に土地活用を行えるという特徴があります。

福祉施設を建設する利点は、賃貸住宅とは異なり空室を気にする必要がないことです。福祉施設は社会福祉法人などの運営事業者が一括借り上げで運営するため、オーナーは建築後、賃料を受け取るだけになります。

注意点

福祉施設で土地活用する際には、必ず運営事業者の助けが必要になります。運営事業者のあてのないまま建設しても意味がありません。また、福祉施設はアパートとは異なり建設費に億単位の資金が必要になります。

福祉施設での土地活用には広い土地、多額の建設資金、建設後の運営事業者、この3つが必要であることを覚えておきましょう。

相続税対策の相談はどこにすればいいのか?

相続税対策は少し間違えただけでも対策として意味のないものになってしまうこともあります。実際に不動産を利用した相続税対策を行う時には、必ず専門家に相談の上実行しましょう。

相続税対策の相談先として、最も適しているのは税理士です。税金の専門家である税理士なら、不動産に関する税金もわかりやすく教えてくれるでしょう。

時折、自治体のお知らせや地方紙の広告欄に、税理士による相続税の無料相談会開催のおしらせが掲載されていませんか?時間は30分ほどのものがほとんどですか、あらかじめ聞くことを整理しておけば多くのことを教えてもらえるでしょう。

税理士相談に必要なもの

税理士相談に行く前に、まずはどのような資産がどのぐらいあるのかを整理した資産一覧表と、家族構成の一覧表を用意しておきましょう。

相談会ではそれらの表を基に、相続税対策としての土地活用でどれだけ投資すればよいのか、どのような土地活用が最適か聞いてみましょう。

その他不動産の登記など、手続きに関する相談は司法書士へ、相続時トラブルに発展しそうなときには弁護士へ相談しましょう。

まとめ

相続税対策として土地活用をするときには、大きな減税効果を得るならアパート・マンション等の賃貸経営が最適であることがわかりました。

福祉施設については、投資金額が多額になることもさることながら、その他の要素から一般的にはハードルの高い土地活用法であると言えます。

相続税対策の相談先として、相続税に詳しい不動産業者に相談するという手もありますが、不動産業者は税務のプロではありません。確実に節税したいのであれば、必ず税理士に相談しましょう。

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