土地や建物といった不動産には毎年固定資産税が課税され、所有している間、延々と支払い義務が生じます。そしてこの固定資産税は安くないケースも多く、年間何十万円もの税金を支払っている人も少なくありません。
しかも、固定資産税は安くならないと思い込んでいる人が多いことから、言われたままの税金を延々と支払っている人が実に多いのが実情です。
しかし、この固定資産税は安くすることができます。そこで今回は不動産の固定資産税を安くするテクニックを徹底解説していきます。
土地や建物においての固定資産税について
不動産にかかる固定資産税は下記の2つに課税され、それぞれに毎年の支払い義務が課せられています。
- 土地
- 建物
発生する固定資産税は対象が土地であるか建物であるかによって特徴と、その計算方法が違ってきます。
そこでまずはその特徴と計算方法について解説します。
土地の固定資産税
それでは土地に発生する固定資産税の特徴と計算方法について見ていくことにしましょう。
土地の固定資産税は下がらない
土地の固定資産税は各市町村が算定する固定資産税評価額をもとに算出されます。この固定資産税評価額は毎年1月1日時点での地価公示価格の約70%に相当します。
この地価公示価格は国土交通省が全国に定めた標準地26,000地点(平成29年時点)を対象として、毎年1月1日時点での価格を公示したものです。
もちろん土地の価格は変動するため、この公示価格は年によって変動することもありますが、地価は3,000万円が翌年に500万円となるような大幅な下落を伴う性質のものでないことから、公示価格が大きく変動することはなく、毎年ほぼ同額の固定資産税の納付が求められます。
土地の固定資産税の計算方法
それではその土地の固定資産税の計算方法について解説します。
土地の固定資産税は固定資産税評価額に標準税率の1.4%をかけた金額となります。
固定資産税評価額が3,000万円の場合だと、下記のとおりです。
3,000万円 × 1.4% = 42万円
基本的に標準税率は1.4%が適用されますが、地方自治体によっては違いがあります。財政困難等の問題により、割高な標準税率となっているといった具合です。
また固定資産税評価額は地価公示価格の約70%が基準値となっていますが、最終的な決定は市町村長となるため、地域によってバラつきが見られます。
よって、固定資産税の算出基準となる下記2つは、お住まいに地域によって違ってくるというわけです。
- 固定資産税評価額
- 標準税率
建物の固定資産税
次は建物に発生する固定資産税の特徴と計算方法です。
建物の固定資産税は少しずつ下がる
建物の固定資産税も固定資産税評価額をもとに算出されますが、土地の場合と大きく違ってくるのが、毎年その評価額が毎年下がってくる点です。
建物は土地とは違い、経年劣化をともなうため、建物の評価額は経過年数に応じて低くなっていきます。それに伴い固定資産税も減っていき、最終的には新築時の20%まで引き下げられます。
また建物の場合、その建築構造や用途・種類で違いが出てくるため、どのような建物であるかによって支払う固定資産税額に違いが出てきます。
ほぼ変わることのない土地の固定資産税と違い、建物の種類や用途、経年年数に応じて、支払う固定資産税額に大きな差額が出てくるのが大きな特徴と言えるでしょう。
建物の固定資産税の計算方法
建物の固定資産税の算出方法も土地の場合と同じで、建物の固定資産税評価額が3,000万円の場合だと、下記のとおりとなります。
3,000万円 × 1.4% = 42万円
また固定資産税評価額と標準税率も、土地の場合と同じくお住まいの地域によって違ってくるので注意が必要です。
しかし、固定資産評価額は毎年違ってくることになりますが、この固定資産評価額は下記の算出方法で求めることができます。
固定資産評価額 = 評点数 × 評点一点当たりの価額
評点数は再建築に必要な金額、評点一点当たりの価額は建物の劣化等による減価を表す数値となり、下記の算出方法で求められます。
(評点数)
再建築表点数 × 損耗状況による減点補正率 × 受給用橋に応じた減点補正率
(評点一転あたりの価額)
1円 × 物価水準に応じた補正率 × 設計管理等に応じた補正率
固定資産税評価額は少々複雑な上、自分で計算する必要もないので、算出方法がある把握しておく程度でいいでしょう。
土地の固定資産税を安くするテクニック
土地や建物の固定資産税についての基礎知識を理解したところで、次は肝心の固定資産税を安くするテクニックについて解説します。
ここからが本題となるので、しっかりと頭に入れておくようにしてください。
土地の固定資産税を安くする方法は下記の3つです。
- 住宅用地の軽減特例
- 分筆・区分する
- 地方特有の特例
それでは早速、その内容について見ていくことにします。
住宅用地の軽減特例
土地の固定資産税は更地であるか、宅地であるかによって大きく違ってきます。宅地の場合には更地と比べ固定資産税の軽減措置が受けられるので、税金の大きな減額効果が得られます。
また、その土地の大きさによって下記2つに分類され、受けられる減額幅が違ってきます。
- 小規模住宅用地
- 一般住宅用地
それではどういった減額効果が受けられるのかを見ていきましょう。
小規模住宅用地
小規模住宅用地とは200㎡以下の住宅用地を指し、住宅やアパート等の200㎡以下の敷地に対する固定資産税が6分の1に減額されます。
土地の固定資産税評価額が3,000万円で敷地が200㎡の場合、通常の固定資産税は42万円となりますが、この減額措置を利用すれば6分の1の7万円まで減額できるというわけです。
一般住宅用地は先ほどの小規模住宅用地の200㎡を超える敷地に対する減額措置です。住宅やアパート等の200㎡を超える敷地に対する固定資産税が3分の1に減額されます。
よって、先ほどの敷地に加えて固定資産税評価額が1,500万円の敷地が100㎡あった場合、通常は21万円の固定資産税が課せられますが、この減額措置を利用すれば3分の1の7万円まで減額されます。
よって、これら2つの減額措置を利用すれば、このケースではトータル49万円もの固定資産税を減額できることになります。
分筆・区分する
土地の登記簿において1個の土地を表す言葉が一筆となり、土地登記簿においては1個の土地という意味を持ちます。
この一筆の土地は2つの土地に分けることができ、それを分筆と呼ぶのですが、この分筆によって固定資産税を減額することができます。
土地の固定資産税評価額は高い路線価に面しているほど高い評価となります。よって、土地の前面が大通りの高い路線価の道路に面しており、その裏側は安い路面価の道路に面していたとしましょう。
この土地を前に面した土地Aと裏に面した土地Bの2つの土地に分筆したとしましょう。そうすれば裏に面した土地Bは土地Aよりも路線価の安い道路に面していることから、固定資産税評価額を下げることができ、その結果、固定資産税を減額できるというわけです。
地方特有の特例
また固定資産税は地方独自の減額措置が設けられているケースが多く見られ、条件に該当すれば固定資産税の減額措置や非課税措置を受けることができます。
2018年現在、草津市では下記の条件に該当すれば減税措置が受けられます。
- 貧困により生活のため公私の扶助を受ける者の所有する固定資産
- 公益のために直接専用する固定資産(有料で使用するものを除く。)
- 市の全部または一部にわたる災害または天候の不順により、著しく価値を減じた固定資産
※草津市HPより参照
実施されている減額措置は自治体によって違ってきますし、全く実施されていない場合もあります。自治体がまずはお住まいの地方自治体HPを確認して、減額措置の有無を必ず確認するようにしましょう。
建物の固定資産税を安くするテクニック
次は建物の固定資産税を安くするテクニックです。建物は土地とは違い経年劣化に伴い固定資産税は減額されますが、それとは別に工夫することで、更なる減額もできます。
建物の固定資産税を安くするテクニックは下記の2つです。
- 再建築費を安くする
- 家の形状や間取りを工夫する(新築の場合)
それではこれら内容について見ていくことにしましょう。
再建築費を安くする
建物の固定資産税評価額は再建築価格方式という評価方式が大きく影響してきます。再建築価格標識とは、課税対象となる建物を再建築するのにかかる費用と、建築後の年数経過に伴う減価を算出し、その建物の評価額を決定します。
よって、この再建築費を安くすれば、固定資産税評価額を低くすることができ、結果的に支払う固定資産税を減額できるといった具合です。
再建築費を算出する際は、総務省が決めた再建築費評点基準表の記載された点数により決定され、下記のような部材に点数が振り分けられています。
- 柱
- 基礎
- 屋根
- 壁
- ソーラーパネル
- エアコン
この再建築批評店基準表は3年に一度再評価されますが、適用される評点は建物を建てた年の基準表により決定され、見直されることはありません。よって、一発勝負とはなりますが、評点の低い部材を使用することで、再建築費を安くすることができるというわけです。
家の形状や間取りを工夫する(新築の場合)
また建物の固定資産評価額は、その形状や間取りによっても大きく違ってきます。
同じ面積に建てられたものでも、凹凸のあるものよりも四角に近いものの方が安くなり、立体的に見ても総二階に近い方が安くなります。間取りも大きく影響しており、同じ延床面積でも部屋数が多いよりも、少ない方が安くなるといった具合です。
形状や間取りに関しては建てられる人の意向が大きく関係してきますが、長期定期になる固定資産税の支払いも頭に入れて、節税効果を加味した家づくりを検討することをおすすめします。
まとめ
土地や建物の固定資産税は決して安いものではありません。しかも、何十年と長期にわたって支払い続ける事になるので、総額にすればゆうに数百万円を超えるケースも珍しくありません。
よって、少しでも支払いを減額できるよう、今回解説したような減税措置を取る必要があるでしょう。土地や建物の固定資産税は減額することができます。自分にあった減税措置をうまく利用して、上手く家計の足しにするようにしてくださいね。