トランクルームは原則荷物を預ける場所ですから、そこに住むことはできません。しかし、利用規約に反して時折トランクルームを住処としてしまう方や、他人のトランクルームに不法侵入し勝手に住み始めてしまうという事例が少なからずあるようです。
今回は、トランクルームに住みたいと言われたときの対処法について紹介します。
- 【目次】トランクルームに住みたいと言われた時の対処方法
トランクルームに住めるのか?
もしトランクルームに住むことができたら、大幅に住居費を減らすことができる、こう考える人も多いようです。ワンルームでも月数万円の家賃と水道光熱費が必要になりますから、狭くても毎月数千円で借りられるトランクルームは確かに経済面では魅力的です。
しかし、トランクルームに人が住むことはできません。トランクルームの利用料金が月払いであることから不動産賃貸のようなイメージを持つかもしれませんが、トランクルームは貸倉庫と異なり、「物品を保管する」ための寄託契約となります。
つまり、トランクルームでは貸倉庫のように「倉庫を貸し出す」契約をしているのではなく、オーナーはユーザーに対し「物品を預かります」という契約をしているのです。よってトランクルームを住居とすることはできません。
また、安全面でもトランクルームへの居住は難しいでしょう。空調が完備されているとはいえ、電気も水道もない狭いトランクルーム内で生活していると、真夏や真冬にはそこにいるだけで危険を伴うこともあります。
これらの理由で、トランクルームに人が住むのは難しい状況ですが、それでもなおトランクルームに住もうと考える人が後を絶ちません。
トランクルームに住みたい人がいる理由
トランクルームに住みたい人は、主に住居を持たない人です。不動産を借りようと思っても契約時の保証人がいない方、毎月の収入が不安定で家賃を支払える保障がない方などがほとんどでしょう。
一時「ネットカフェ難民」という言葉が流行しましたが、トランクルームもネットカフェ難民同様、「その日暮らし」を強いられている人にとっては魅力的な住まいに感じるようです。その理由は、とにかく毎月の支払額が家賃に比べ安いから、契約に手間取らないからにほかなりません。
契約上宿泊はできない
上記で述べた通り、原則トランクルームを住居とすることはできません。倉庫業法でトランクルームは住居として認められないとされているからです。
また、トランクルームの規約上も居住が認められていません。トランクルーム内に長時間滞在することを禁止している契約がほとんどですから、たとえ契約者であってもトランクルームを住まいとしている場合にはすぐに契約解除されてしまうでしょう。
警備会社が管理している
そもそも、トランクルームの出入りには警備員が付き添います。こういった居住トラブルを避けることはもちろん、規約違反のものを持ち込むことを防ぐ意味もあるでしょう。
トランクルームにはさまざまなものが置けるため、警備のチェックも厳しくなっています。
勝手に人が住みやすいトランクルームの特徴
このように、トランクルームを住居とするのは法律的にも規約的にも難しい状況ですが、それでも無理やりトランクルームに住もうとする人がいます。
実際にトランクルームで生活していた人もおり、厳しい警備の目があっても、人が勝手に住み着いてしまうトランクルームは存在しています。次のようなトランクルームの場合、勝手に住居とされる可能性があります。
屋外型
屋外にあるコンテナ式のトランクルームを経営している方は、勝手に人が住まないよう十分に注意しなければいけません。大きなコンテナが所狭しと置かれている屋外型のトランクルームは隠れる場所が多く、警備員の目をかいくぐって勝手に住もうとする人が現れてもおかしくないでしょう。
特に、人通りが少ない郊外にある屋外型トランクルームは注意してください。
管理人が不在
こちらも屋外型のトランクルームにあてはまります。屋内型のトランクルームには管理人が常駐しているものも多く、勝手に人が住むというのは無理でしょう。
しかし、屋外型のトランクルームは管理人が常駐していない場合が多いです。管理人不在で人の目の行き届かないトランクルームでは、知らないうちに人が潜り込んでいる可能性があるでしょう。
大通りに面していない
車通りも人通りも多い大通りであれば、警備員や管理人の手が少なくとも勝手に人が住むことはないでしょう。しかし、大通りから外れた裏道にあるトランクルームや、細い道を行った先の奥まった場所にあるトランクルームは注意しなければいけません。
そもそも、建物を建てた土地活用や駐車場経営などに適さなかった土地でトランクルーム経営をするケースも多く、大通りに面さない変形地や狭小地でトランクルーム経営をする際には、不法侵入されないよう警備に費用をかける必要があるでしょう。
24時間出入りが自由
トランクルームの中には、「契約者であれば24時間出入り自由」という形のトランクルームも存在しています。24時間型のトランクルームでは、警備が甘いことも多く油断できません。
24時間型のトランクルームには屋内型・屋外型の両方がありますが、より注意したいのは屋外型のトランクルームです。24時間型のトランクルームは、比較的安全な屋内型のトランクルームでも、トランクルーム以外の利用法をしようとする人が侵入しないよう気を付けておきましょう。
まとめ
毎月の料金が安いトランクルームでは、無断で住居として利用しようとする契約者もいるため、トランクルーム経営を始めるときには「人の侵入を防ぐ」ようなトランクルームを設置しなければいけません。
厳重な警備体制はもちろん、管理人を常駐させたり、営業時間を決めたりといった対策も必要でしょう。屋外型ではなく、屋内型のトランクルームにしておくのも大切です。トランクルームを多くの契約者により安全に利用してもらうためにも、不法に居住する契約者が出ないようしっかりと対策をとる必要があります。
もし、「トランクルームに住みたい」と契約者に言われた場合には、法律に反してしまうこと、規約に反してしまうことにあわせ、住まいとして利用するには不便であることも伝えましょう。