農地や畑を土地活用したい場合の転用基準、手続きの流れ

農地や畑を土地活用したい場合の転用基準、手続きの流れ

農地や畑を土地活用するためには、土地の用途を農地から農地以外の宅地等へ変更しなければいけません。この手続きを「農地転用」といいます。

農地転用を行うためには、地区の農業委員へ農地転用の申請を行い手続きしなければいけません。場合によって、農地転用には手間と時間がかかってしまうこともあります。

ここでは、遊休地となってしまっている農地や畑を上手に土地活用するために必要な手続きや方法を紹介します。

【目次】遊休地を土地活用する場合の転用基準と手続き
  1. 農地や畑を土地活用するには
    1. 土地活用するには転用が必要
    2. 農地や畑の区分と転用許可基準
    3. 転用手続きの流れ
  2. 転用せず活用する方法
    1. 農家に貸す・売却する
    2. 農地バンクに登録する
    3. シェア農園(市民農園)にする
  3. まとめ

農地や畑を土地活用するには

狭い国土の中に多くの人が住まう日本では、ご存知の通り自給自足が難しい状態にあります。そのため、限られた土地の中でできるだけ食料を調達できるよう、畑として利用する農地はそれ以外に利用してはいけないという法律があります。

しかし、離農したり農業をしていた親族がなくなってしまったりした後、そのまま農地として利用するのは難しいことがあります。そんなときには農地転用を行いましょう。農地転用を行うことで、一度農地にした土地でも、農地以外の宅地等に変更することができます。

土地活用するには転用が必要

農地転用を行うためには、まずその土地を管轄する農業委員に書類を提出し、農地転用申請をします。許可は都道府県知事が行い、4ヘクタールを超える土地の場合には農林水産大臣の許可となります。

転用の手続きは地方によって細かな違いはありますが、転用完了までには数ヵ月から1年を要しますので、理由があって農地転用が必要な場合には早めに手続きを行いましょう。

農地や畑の区分と転用許可基準

しかし転用手続きを行ったからといって、すべての農地が転用できるわけではありません。農地として優良な土地の転用は認められませんので注意しましょう。

転用許可基準は、農地や畑の区分によって以下のように定められています。

農地区分と転用許可
区分 どのような土地か 転用の許可・不許可
農用地区域内農地 各市町村の農業振興地域整備計画によって農地と決められている 原則不許可(ただし農業用施設などは認められることもある)
甲種農地 8年以内に市街化調整区域内の土地改良事業対象となった優良農地 原則不許可(土地収用法の認定を受け事業等のために転用する場合は認められることがある)
第1種農地 10ヘクタール以上で土地改良事業等の対象となった規模の大きい優良農地 原則不許可(土地収用法の認定を受け事業等のために転用する場合は認められることがある)
第2種農地 駅が500m以内にあり市街地化が見込まれる生産性の低い農地 第3種農地にすることが困難な場合に許可
第3種農地 駅が300m以内にあり、すでに市街地化されている傾向にある農地 原則許可

すでに農地として利用するのが難しい状況にある第2種、第3種農地は簡単に転用が認められますが、それ以外の区分の農地で転用を認められることはほとんどありません。転用許可が出されやすい第2種、第3種農地であっても、「なんとなく転用したいから」ということでは許可は出ないでしょう。

「何のために転用するのか」「転用した後具体的にどうするのか」が明確でなければ、農業員会で申請を拒否されることもあります。自分の所有している農地がどの区分にあたるのかは、管轄の農業委員会へ足を運び確認しましょう。

転用手続きの流れ

実際に農地を転用するときには、次のような手順が必要となります。

1.農地の現況を確認

まずは自分の目で農地の現況を確認してみましょう。転用するためには第2種もしくは第3種農地である必要がありますが、転用したい農地の周辺は市街化されてきていますでしょうか?

駅が近くにあり、周辺が住宅地になっていれば農地を転用できる可能性も高まります。登記簿や公図も取り寄せておきましょう。

2.相談

次に農業委員会へ出向き転用について相談します。ここでは、はじめに農地の区分が何にあたるのか調べます。転用が原則不可となる農用地区域内農地だと転用は難しいと判断することができます。

農地転用が可能そうな場合には、農業委員にどのような書類を揃えればいいのか聞いてみましょう。事前に必要書類リストを作成しておくことで、申請がスムーズになります。

3.書類作成

ここからは実際に申請書類を作成していきましょう。こちらも農業委員や委員会の窓口に相談しながら行うと失敗がありません。転用後の使用に関する事業計画書や各種書類、許可申請書を作成します。

4.申請

書類を提出して申請すると、都道府県知事または農林水産大臣が転用の判断を行います。許可されると再び申請者と農業員会とのやりとりが発生し、すべての事務処理が終了するまでには申請から数ヵ月~1年の期間を要します。

転用せず活用する方法

このように、農地転用を行うためには多くの時間と労力が必要となります。農地転用が難しい土地を所有している、転用手続きが面倒といった場合には、転用せずにそのまま農地として活用する方法を考えましょう。

農家に貸す・売却する

もっとも現実的なのは、農地としてそのまま農家に貸し出す、もしくは売却する方法です。農地としての利用価値が高い土地であれば、すぐにでも借り手や買い手が見つかるでしょう。

ポイントは農業を廃業してすぐに貸出しや売却を行うことです。農地として長く利用され、ここまでしっかりと管理されてきた土地は、農業者の買い手からも人気です。

しかし、周辺に農家がいない土地や農地として利用価値の低い土地の場合には、何年たっても借り手・買い手が見つからないこともあります。周辺に農家が多くいても、あまり手入れを行ってこなかった土地には同じく借り手や買い手がつかないことも珍しくありません。

農地バンクに登録する

農地バンク(農地中間管理機構)に登録し、農地の借り手を効率的に探すこともできます。農地バンクは地域内で分散している農地を集約し、担い手にまとめて貸出しするためにつくられた機関です。集められた土地は市町村がその情報を管理します。

農地バンクに登録しておけば、農地バンクが借りたい人を積極的に探し出してくれます貸出期間も10年間と長く、その間は安定して賃料を受け取れるのが特長です。

ただし、農地バンクに登録したからといってすぐに農地の管理から解放されるわけではありません。借り手が見つかるまで、農地は自己管理が必要になります。「農地を管理できずに手放したい、貸し出したい」というときには、農地バンクの利用は難しいでしょう。

シェア農園(市民農園)にする

いずれも難しいときには、シェア農園として市民に土地を貸し出すこともできます。シェア農園として土地を貸し出すときには、3つの方法のどれかを選ばなければいけません。次の、3つの方法はそれぞれ貸出し・利用するための方法や条件が異なります。

1. 特定農地貸付法による貸し付け

農地を細かく区切り、その区画1つ1つを市民へ貸し出す方法です。この場合、貸し出しには農業委員への申請が必要となります。

特定農地貸付法による貸し付けでは、貸し出した市民それぞれから区画ごとの賃料を受け取ることができます。

2.農園利用方式による貸し出し

農園利用方式による貸し出しでは、前提として農地の所有者が農業を継続していかなければいけません。

土地の所有者が農業を営み、市民は農業体験として農地を利用します。入園料をとって収入を得ることができますが、営利目的でこの事業を行うことはできない点に注意しましょう。

3. 特定農地貸付法による貸し出し

上記2つの方法どちらも利用できるのが、特定農地貸付法による貸し出しです。区画で貸し出し賃料を受け取ることもでき、農園として入園料をとって営業することもできます。

ただしこの方法を利用するためには、設備を整えなければいけません。特定農地貸付法を利用する場合には、トイレや休憩所、駐車場、農機具倉庫といった付帯施設を作り、市民が利用しやすいよう土地・施設を整備しましょう。

まとめ

利用しない農地を活用したいときには、まず土地区分を確認しましょう。農用地区域内農地、甲種農地、第1種農地であれば、原則として転用することはできません。

転用できる土地であっても、申請から転用までには早くても数ヵ月、長ければ1年以上の期間を要することがあります。申請準備期間から含めると、とても長い時間と手間が必要です。

いずれも難しい場合には、農地を転用せずそのまま貸し付けや売却を行うか、シェア農園として貸し出しましょう。

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