保育園の土地活用で補助金はいくらもらえる?

入居率の低下が問題視されている賃貸経営に変わって近年注目されているのが、需要が高く確実に収益を上げられる様々な土地活用です。その一つとして挙げられるのが保育園で、待機児童の問題がクローズアップされていることもあり徐々に注目を集めいています。

保育園なんて個人が手を出すことができる事業なのとびっくりする人もいるでしょうが、保育園での土地活用といっても土地オーナーが直接保育園経営を行うわけではありません。

もちろん直接経営に携わることもできますが、一般的には土地もしくは建てた建物と土地の両方を貸出してその賃料収入を得るケースが大半です。

そこで今回は保育園の土地活用で補助金はもらえるのか、どのようなメリットやデメリットがあるのかを詳しく解説していきます。

保育園への土地活用のメリットとデメリット

冒頭で言ったように保育園の土地活用は直接保育園の運営に携わることも可能ですが、それには多くの条件をクリアする必要があるため、実際の土地活用としては下記のいずれかとなってきます。

  • リースバック方式
  • 事業用定期借地式

リースバック方式の場合は土地オーナーが建物を建て土地ごと運営会社に貸し出す形で、建物と土地の賃料を得ることができます。

これに対して事業用定期借地式は土地だけを貸し出して土地の賃料だけを得る形です。リースバック方式は建物の建設が必要となるため初期投資費用が高額になりますが、事業用定期借地式は土地を貸し出すだけですから、費用のことを心配せず始めることができます。

それではこれら保育園の土地活用にどのようなメリット・デメリットがあるのかを見ていくことにしましょう。

メリット

保育園の土地活用として挙げられるメリットは下記の3点です。

  • 長期にわたる安定経営が見込める
  • 補助金による建築費用の負担軽減が見込める
  • 社会や地域に貢献できる

長期にわたる安定経営が見込める

契約先にもよりますが一般的な契約期間は20年以上の長期契約となります。現在日本が抱える待機児童の問題をみれば、園児が少なくなり閉園に追い込まれることはあまり考えられません。

しかも、一般的に契約期間の賃料は一定に維持されるので、現在の利回りと将来的な利回りとの差がなく、事業計画が立てやすいというメリットも出てきます。

また20年の長期契約が終了したとしても閉園にでもならない限り再契約となるので、仮に建物を建てていたとしてもローンは完済しており、それ以降の収入はすべてを土地オーナーの収益とすることができます。

保育料の回収形態も安心できます。認可保育園の保育料はまずは行政に支払われ、そこから運営費が運営会社に支払われます。

土地オーナーは運営会社との契約となりますが、実質は国に賃貸してるのと同じことですから、通常の賃貸物件時に見られる滞納の心配はほぼする必要がありません。

補助金による建築費用の負担軽減が見込める

これは行政によっても違ってくるのですが、保育園建設で補助金の支給を受けることができ、初期投資費用の軽減が期待できます。東京都のような都市圏では保育園不足の問題は深刻化しており、その打開策としてなんと保育園建設費用の4分の3が補助金として支給されています。

また土地のみを賃貸した場合でも、固定資産税と都市計画税が5年にわたって免除される制度が2017年より開始されており、税金面での優遇措置を受けることもできます。

このように補助金や税金の優遇措置を受けられるため、高額投資となる保育園建設に手が出しやすいのも大きなメリットと言えるでしょう。

社会や地域に貢献できる

保育園としての土地活用は、ほかの土地活用には見られない社会や地域に貢献できるという大きな意義を持ち合わせます。単なる土地活用としてだけでなく、社会貢献による満足感が得られるのもこの土地活用独特の特徴であり、得られるメリットと言えるでしょう。

デメリットやリスク

一見メリットの多い保育園の土地活用ですが、下記のようなデメリットがあることもよく理解しておく必要があります。

  • 土地転用がしづらい
  • 許可がおりにくい
  • 早い者勝ちという側面がある

それではこれらデメリットについて詳しく見ていきましょう。

土地転用がしづらい

一般的な保育園との契約期間は20年と長期にわたります。これは長期的に安定した収入が得られるというメリットではありますが、逆に言えば長期にわたって土地転用ができないというデメリットにもなってきます。

契約期間中に理由があって土地転用したいという場合でも契約上それは叶いません。建物を建てて賃貸している場合にはそのようなことになならないでしょうが、土地だけを賃貸している場合には多々見られる話です。

保育園の土地活用を始める際には、この点をよく理解しておく必要があるでしょう。

許可がおりにくい

近年は全国的に保育園不足のため、土地所有者に対して自治体から保育園開設の公募もよく見られます。しかし、そのようなケースでも土地があるから必ず保育園の土地活用ができるという保証はありません。

保育園を開設するには様々な条件があり、土地がその条件をクリアしていないことには許可が下りることはありません。下記は東京都世田谷区の開設条件です。

  • 十分な安全確保が取れている
  • 年次数に見合う園庭や屋上が確保できている
  • 45人以上の園児を預かれる土地や建物である

また、これら条件がクリアできたとしても、最終的に周辺に住んでいる人たちから反対の声が上がり、保育園の開設が叶わないケースも多く見られます。保育園不足は地域全体の問題ではありますが、新しく開設するとなれば必ずと言っていいほど反対の声が上がります。

自治体の認可もとって、いざ建設という段階でダメになった話は珍しいものではありません。時間をかけてやってきたことが一瞬のうちにダメになってしまう可能性も出てくるので、この点はよく理解しておく必要があるでしょう。

早い者勝ちという側面がある

保育園不足が叫ばれている今の状況でも、地域単位における保育園数には決まりがあります。その数は自治体によっても違ってくるのですが、検討していたにもかかわらず近隣で保育園開設が決まって話しがダメになったというケースも出てきます。

不足しているのだからそんなことはないだろうと思っている人が多いのですが、保育園解説には早い者勝ちという側面もあるので検討中の人は迅速に話を進めなければならないケースもあると心得ておきましょう。

保育園を開設する際の条件

先程も少し触れましたが保育園は土地があれば開設できるというものではありません。各自治体が定める条件をクリアできて初めて話を進めることができます。そこでここではその条件についてさらに詳しく見ていくことにします。

条件については各自治体によって違ってくるのですが、今回は保育園としての土地と建物の募集を行っている東京都港区を例に挙げてその条件を見ていくことにします。

土地条件

港区が土地条件として挙げているのは下記の6点です。

  • 原則敷地面積が300㎡以上で、定員60名以上の保育施設が設置できる建築面積及び延床面積が確保できる
  • 建築基準法42条に定義される道路に接している土地
  • 原則隣地、道路との境界が確定している土地
  • 保育施設としての安全性が担保される土地(二方向に敷地外への避難経路が確保できることなど)
  • 10年以上の賃貸借契約が締結でき、その契約期間を継続できること
  • 当該土地に関する関係権利者全員の了承が得られること

300㎡に満たない土地でも対象となるケースもあるとの注釈はありますが、300㎡といえば約90坪もの土地になっていきます。基本的にはかなり広い土地が必要になってくるので、保育園の土地活用をできる人は限られることになるでしょう。

先に触れたように保育園は土地条件をクリアしても必ず開設できるというものではありません。となれば土地購入して始めるにはリスクを伴うこととなるので、基本的には土地所有者におすすめの土地活用となってきます。

建物条件

建物条件として挙げているのは下記の8点です。

  • 小規模保育事業所想定時は100㎡程度、私立認可保育所想定時ならば300㎡~400㎡の原則延床面積であること
  • 建築基準法42条に定義される道路に接している土地に建てられた建物
  • 原則隣地、道路との境界が確定している土地に建てられた建物
  • 保育施設としての安全性が担保される土地(二方向に敷地外への避難経路が確保できることなど)に建てられた建物
  • 10年以上の賃貸借契約が締結でき、その契約期間を継続できること
  • 建築確認申請書、建築確認済証及び検査済証の提出ができること(*紛失している場合は台帳記載事項証明書)
  • 100㎡を超える保育所専有面積の場合は、建築基準法による保育所への用途変更が行えること
  • 原則建築基準法における新耐震基準により建築された建物

建物についても土地と同様に決して小さいものとはならず、私立認可保育所想定時ならば90坪から120坪もの大規模施設となるため、建物を建てるとなれば初期投資費用も高額なものになることが想定されます。

首都圏で約120坪の床面積にかかる建築費が約3,600万円、そしてここに保育園施設として必要となる設備費を加えればさらに大きな額となってきます。土地の大きさもさる事ながら、建物を新築するとなれば開設する保育園の規模にも注意する必要があるでしょう。

保育園で土地活用する際の流れ

保育園の経営に直接関与する方が得られる収益は大きなものになりますが、各自治体の保育園開設の募集を見ても保育事業者を介しての契約となるケースが一般的です。よって、行政とのやりとりや開設後の管理運営も保育事業者に一任し、そこから収益を得る形となります。

それでは実際に保育園の土地活用を始める際の流れについて簡単に見ていきましょう。

その流れは下記のとおりです。

  1. 各地方自治体に保育園開設に関して相談
  2. 自治体から保育園解説可能な土地であるかどうかの連絡
  3. 可能な場合、保育事業者の事業者一覧の配布
  4. その中から事業者を選び、具体的な交渉を開始
  5. 交渉合意後、自治体に対して認可保育所開設の提案
  6. 自治体による審査
  7. 採択されれば認可手続きの開始

認可手続きが終われば工事の着工となり、完成後に保育園の開設となります。

保育園の土地活用では土地オーナーは保育事業者をどこにするのかが一番重要なポイントとなってきます。開設後に得られる収入は事業者によって違ってきますし、契約期間などにも違いが出てきます。事業者を1つに決めずまずは数社から話を聞くことをおすすめします。

まとめ

今回は自治体への直接申込の方法を例に挙げて解説しましたが、近年は大手建設会社でも保育園の土地活用を行っているところが多く見られます。保育園の土地活用ともなれば、はっきり言って高い知識をもって臨む人は少ないのが実情です。

端から自治体に相談するのもいいのですが、土地活用としての知識を多く抱える大手建設会社に相談を持ちかけてみるのもおすすめの方法となってきます。できるだけメリットの高い契約とするためにも、多くの業者から話を聞いて比較検討するようにしてください。

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