駐車場料金の値上げで収入を増やそうとする際の注意点

駐車場料金の値上げで収入を増やそうとする際の注意点

当初の経営計画よりも利益が上がらなかった。月極駐車場の経営では、このような悩みを抱えるオーナーも少なくありません。同じ契約台数でも利益を上げたい、そんなときには駐車場料金の値上げで対応しようと考えるオーナーが多いのですが、月極駐車場では料金の値上げにはいくつか注意したいポイントがあります。

駐車場経営を上手に軌道に乗せるために知っておきたい注意点について紹介します。

料金を値上げする際の注意点

駐車場料金を値上げするとき、こちらの利益ばかりを考えていては利用者が離れていくということをまず肝に銘じておきましょう。支払いに無理が生じるほどの値上げでは、契約を解除したいと申し出る利用者も出てくるはずです。

利益を上げるために行う値上げで、契約解除による損失が出ては意味がありません。次の注意点をよく理解し、利用者にとって不満のない料金値上げを行いましょう。

周辺の駐車場の状況を確認する

まずは周辺の駐車場を確認してください。値上げする価格の基準として、周辺駐車場の平均金額を調べていきます。もし周辺に同じような駐車場がいくつもあり、設備も立地も自分の駐車場より立派で契約金額は同程度、という場合には、値上げ自体が無謀かもしれません。

周辺に駐車場がなかった場合でも、相場からかけ離れた値段設定ではやはり契約解除されるリスクが高まります。まずは駐車料金の相場を確認し、それより高くても自分の駐車場は需要があるのか考えてみましょう。

月極駐車場で値上げできるのは更新時

値上げを決めた後にも注意したいポイントがあります。それは契約の途中で値上げすることはできないということです。つまりこちらの都合で勝手に値上げはできません。

今すぐにでも利益を確保したい!と考えても、利用者の更新日に合わせ、事前に告知して値上げしましょう。利用者が値上げに納得しないままに値上げに踏み切ると、後々トラブルとなることもあり注意が必要です。

事前告知は6カ月前を目安するといいでしょう。利用者側からすると、3カ月前では告知が遅すぎると感じます。

値上げ以外の方法で収入を増やすには

このように、駐車場料金の値上げは少しハードルの高い増収方法だと言えるでしょう。値上げ以外の方法で収入を増やすことができれば、利用者に不満を与えることもありません。

オーナーも利用者も納得できる増収方法について紹介します。

稼働率を上げる

まずは駐車場の稼働率を上げる工夫を行いましょう。稼働率を上げるためには以下の3つのポイントに注視してください。

ポイント1.駐車場が足りない地域なら昼夜稼働

駐車場が足りない地域で試してほしいのが、昼間仕事に行くため駐車場が開いてしまうスペースを利用して、昼間の短時間分だけ契約させる方式です。

例えば街中にある駐車場なら、営業で短時間だけ駐車場を利用したい客が多くいます。もちろんこの形態にするためには現行の利用者の承諾が必要になります。現行の利用者には、駐車場料金を割り引くなどして交渉してみましょう。

ポイント2.思い切って値下げする

契約率も稼働率も低くなってしまっているときには、思い切って値下げに踏み切るのも一つの手です。値下げは周辺の駐車場よりもほんの少し下げる程度か最低ラインと同じ金額にし、価格競争が激化しないように注意してください。

ポイント3.駐車場のレイアウトを変更する

常に満車の契約状況から、さらに稼働率と利益を上げたいときには駐車場のレイアウトを変更してしまいましょう。一台でも多く駐車できるように、斜め駐車になるようラインを引いたり、数台分は「軽自動車専用」としておけば、同じ広さの駐車場でも数台分は余分に駐車できるようになります。

出入り口も入りやすいように工夫し、間口を広げておきましょう。出入りのしやすい駐車場は印象が良くなり、契約数を増やす効果が期待できます。

ほかの土地活用法を検討する

月極駐車場の経営に限界を感じたら、他の土地活用法を検討してみましょう。駐車場の後にはどのような土地活用ができるのか紹介します。

一括借り上げのコインパーキング

月極駐車場ではなく、一定の収入が確保される一括借り上げのコインパーキングにしてしまう手もあります。一括借り上げ方式では、コインパーキングを運営する会社から毎月定額の賃料を受け取れます。

ただし、駐車場に向かない土地で収入が確保できなかった場合には急に契約を解除されてしまったり、賃料を値下げされてしまったりすることもあります。

駐輪場経営

駐車場よりも契約者が多くなり、稼働率も上がるのが駐輪場経営です。自転車は運転免許がいらないため、子どもから高齢者まで多くの人が利用しています。駐輪場経営の場合、住宅街ではなく駅の近くや商業施設のそばが好立地です。

駐輪場には月極、時間課金、一日課金とさまざまなタイプがありますが、収益が出やすいのは時間課金タイプでしょう。自転車の違法駐輪が問題になり、場合によっては撤去されてしまうこともあることから、都市部においては駐輪場の需要は高いことが考えられます。

貸店舗

人通りが多く、ある程度の広さがあれば貸店舗という手もあります。建物を建て土地と建物を貸し出せば、駐車場経営よりも高利回りが期待できます。

一般的なコンビニの店舗であれば、コンビニがもし撤退してしまっても貸事務所やその他店舗として利用することもできます。

トランクルーム経営

土地の広さが限られている場合には、トランクルーム経営がいいでしょう。土地柄に関係なく、一定の需要が見込めます。ただし広い土地に一戸建てを建てるのが当たり前といった地方では、思ったような利回りが望めないかもしれません。

アパート・マンション経営

土地がある程度広ければ、アパートやマンションの賃貸経営も可能です。駅の近くや商業施設の近くであれば、単身用アパートにすると空室リスクも少ないでしょう。

建物が密集している土地、住宅街では、周辺住民との争いを避けるため、建物の高さに気を付けて建設しましょう。

定期借地

期間をあらかじめ決めて土地を貸し出す方法です。土地だけを貸し出す場合には、一般定期借地権か事業用借地権が考えられます。

住宅等に利用するときには、50年以上の契約が定められる一般定期借地権、事業用に利用されるときには契約期間が10~20年の事業用借地権を利用できます。定期借地権では、売却と同じようにまとまった金額を最初に受け取る方法と、定期的に賃料を受け取る方法が選べます。

売却

これ以上費用をかけてまで土地活用をする気がないときには、思い切って売却してしまうのも一つの手です。売却してしまうと資産がなくなってしまうから、とためらってしまうかもしれませんが、土地はただ持っているだけだと毎年固定資産税がかかります。

毎年の固定資産税額が大きな負担になっているなら、思い切って売却したほうがいいでしょう。

まとめ

駐車場経営で収入が思ったように得られなかった場合でも、駐車場料金の値上げには慎重になったほうが良いでしょう。もし値上げする場合には、最低でも更新の6カ月前に利用者に通知します。

値上げによって周辺駐車場の料金よりも明らかに高い料金だと、契約者がいなくなってしまう可能性が高まります。

月極駐車場経営に限界を感じたときには、様々な土地活用法からもっとも適したものを選び、駐車場以外の土地活用を行うのもおすすめです。無理なく収益をあげられる土地活用法は何か、土地柄や土地の広さから考え、その土地にぴったりの土地活用を行いましょう。

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