初期投資も少なく比較的簡単に始めることができる土地活用の1つが駐車場経営ですが、その経営成功の1つの鍵となるのが料金設定です。
運営会社に丸投げするなら気にする必要はありませんが、儲けを見込んで地主自らが経営するとなると簡単なことではありません。安くしすぎると儲けが少なくなりますし、かと言って高すぎれば利用者が減少してこれまた儲けに響いてしまいます。
よって、周辺の駐車場状況をよくリサーチした上での料金設定が必要になってくるでしょう。そこで今回は国内でも料金が高いと言われる東京と大阪の相場を見ていきながら、儲けを上げやすい料金設定について解説します。
駐車場の料金相場はいくらなのか?
駐車場の料金相場といっても経営する超車場が下記のどちらかによって、その料金相場の見方は違ってきます。
- 月極駐車場
- コインパーキング
よって、開設する駐車場がどちらなのかで、料金設定で確認しなければならないポイントは違ってきます。それでは実際に最も地価が高いと言われる東京と大阪の各料金相場がどうなっているのかを見ていくことにしましょう。
東京(新宿や渋谷)の相場
日本一地価が高い東京ともなれば駐車場料金もさぞかし高いことと思われるでしょうが、料金相場は東京23区によって大きく変わってきます。月極駐車場の料金平均値を見てみると中央区や港区のように5万円代と高額な地域もあれば、安価な地方と変わらない1万円代の練馬区もあるといった具合です。
東京だからといってその全域で高額な料金相場が敷かれているわけではないのが実情です。そこで今回は東京23区の中でもトラフィックの多い新宿区と渋谷区を例に挙げて、その料金相場を見ていくことにします。
月極駐車場
新宿区と渋谷区の月極駐車場の料金相場は下記のとおりです。東京都全体の平均値が約3.1万円ですから、2つとも平均値を超える高額設定となっています。
- 新宿区 平均値3.6万円
- 渋谷区 平均値5.5万円
トラフィックの多い新宿区の平均値が渋谷区よりも大幅に安いのは気になるところですが、区の中でも料金相場は大きく違っており、下記のようにエリアによって料金相場には違いが見られます。
新宿区
- 歌舞伎町エリア 平均値5万円
- 下落合エリア 平均値3.6万円
- 高田馬場エリア 平均値3.6万円
渋谷区
- 渋谷駅周辺 平均値5.5万円
- 恵比寿エリア 平均値4.8万円
- 初台エリア 平均値3.5万円
駐車場の料金相場は地価に大きく影響されますが、トラフィックの多いことも影響します。上記のように東京23区それぞれに違いが見られ、その区内でも違いが出ていることが何よりの証でしょう。
コインパーキング
コインパーキングの場合は運営会社によって料金相場が違う上、その料金設定が単距離間で違ってくることもあり、月極駐車場のように料金相場の平均値がリサーチされた情報が見られません。
そこでコインパーキングの料金相場に関しては、土地オーナーの最大の敵となる大手コインパーキング運営会社であるタイムズの料金相場を例に挙げて見ていくことにします。そのタイムズの新宿区と渋谷区の料金相場は下記のとおりです。
新宿区
- タイムズ新宿フラッグス 終日30分400円
- JR新宿ミライナタワー 終日30分300円
- タイムズ代々木第9 終日12分300円
新宿区の場合は中心地から離れるほど料金が高くなる傾向があり、最高値で終日30分400円、最安値で中心地から1.5km離れた30分100円と地域によって大きなバラつきが見られます。しかし、中心地の料金設定は1時間800円から600円が相場となるため、全国的な平均値が60分300円程度とされるコインパーク料金としては、間違いなく高額分類となります。
渋谷区
- タイムズ渋谷区パークプラザ 終日10分300円
- タイムズ渋谷全線座ビル 終日30分200円
- タイムズ神宮前第13 終日20分200円
渋谷区の場合も新宿区と同様に中心地から離れるほど料金が安くなる傾向が見られますが、中心地の料金設定は新宿区を上回るものがあり、60分1,800円と驚くような料金設定である点は注目すべきところです。
大阪の相場
それでは東京に次ぐ大都市とも言われる大阪の料金相場を見てみましょう。
月極駐車場
大阪の月極駐車場の料金相場の平均値は約2.65万円です。東京の平均値が約3.1万円ですから幾分安価な設定になっていると言えます。しかし、その料金相場には東京と同じく地域性が見られます。不動産会社であるアットホームが紹介している料金設定を見ると、中心街の北区においても下記のように大きなバラつきが出ています。
- 北区百舌鳥梅町1丁 6万円
- 北区金岡町 2万円
- 北区花田町4丁 9千円
また同じ町内でも下記のようなバラつきが見られることから、東京よりもさらに細かい料金相場が行われていることが伺えます。料金設定時には周辺の料金相場をしっかりとリサーチする必要があるでしょう。
- 舌鳥梅町1丁 6万円
- 舌鳥梅町4丁 1.2万円
コインパーキング
コインパーキングの料金相場は東京と同じく、タイムズの料金設定を参考に見ていくことにします。今回は北区の中でも最もトラフィックの多い梅田駅を中心とした料金相場を挙げていきます。
その結果は下記のとおりです。
- タイムズ大阪梅田 終日10分200円
- バイクタイムズ中崎西第11 終日20分300円
- タイムズ中崎西第5 終日20分200円
中心地から300m圏内では終日10分200円が料金相場となっており、東京同様に中心地から離れるほど料金設定は安価になっています。1km以上ともなれば30分200円と一番高額となるタイムズ大阪梅田の3分の1の設定となっていることからもこの傾向は明らかでしょう。
しかし、先程紹介した高額設定の渋谷区と比べると3分の2ほどの設定となっていることからも、月極駐車場と同様に東京よりは幾分安価な設定となっていることが伺えます。
駐車場の料金設定
東京と大阪の駐車料金の相場傾向を見れば、都道府県全体の平均相場を確認しただけでは適正な料金設定が行えないことは明らかです。料金設定は地価とその地域のトラフィック状況が大きく影響してきます。
利用者を掴んで儲けの出る駐車場経営とするためには、ポイントを抑えた料金設定が必要になってくるでしょう。それではその料金設定時のポイントについて解説していくことにします。
周辺の相場を確認する
東京と大阪を見ても明らかですが、駐車料金は地域性が大きく関係しています。大阪の月極駐車場の料金相場の平均値は約2.65万円ですが、同じ区内でも料金には違いが見られ、さらに同じ町内でも違いが見られます。
高い収益を求め周辺相場に反した高い料金設定では利用者を獲得することはできません。料金設定をする場合には周辺の料金相場がどうなっているのかを絶対に確認する必要があります。
特に料金設定に時間が関係してくるコインパーキングで成功するには、利用者の駐車時間の傾向がどうなっているのかも重要なポイントとなってくるでしょう。
短時間利用者が多い地域であれば時間設定を短時間にして稼働率を上げる必要がありますし、オフィス街など長時間利用となるサラリーマンが多ければ60分に設定するなどの工夫が必要になってきます。
こういった利用者の利用時間の傾向を個人でリサーチするのは難しいかとも思われますが、周辺の料金設定を確認すればリサーチ会社に頼ることなく、その傾向を確認することもできます。
周辺の料金相場を無視した料金設定では利用者を獲得することはできません。無理に安価な料金設定をする必要はありませんが、周辺相場に即した料金設定は成功するための必須条件です。
くれぐれも周辺相場のリサーチは欠かさないようにしましょう。
最大料金設定はした方がいいのか?
コインパーキングで考えなければならないのが最大料金の設定です。近頃は最大料金が設定されたコインパーキングが多いため、個人で経営する際には必ず設定しなければと考える人も多いことでしょう。
しかし、最大料金設定は必ずしも設定しなければならないわけではありません。最大料金設定の必要性は立地条件が大きく関係してきます。
コインパーキング収益は短時間利用者を多く獲得して回転率を上げた方が確実に高い収益を得ることができます。よって、短時間利用者が多い立地条件では最大料金設定を必要とする長時間利用者を獲得するよりも、短時間利用者を多く獲得して稼働率を上げた方がメリットは高くなってきます。
長時間利用者が多い立地条件では最大料金設定は必ず必要となってきますが、短時間利用者が多い立地条件では最大料金設定をしない方が高い収益を生むことができるというわけです。
利用者傾向を確認するためにも、やはり周辺の料金相場のリサーチは必要不可欠となってきますね。
まとめ
全国的に見れば地価が高額な東京や大阪の駐車料金は高額なのは明らかです。しかし、今回解説したように高額な駐車料金となる東京と大阪でも、料金設定には地域性が見られ、どこもが高額なわけではありません。
このことからも料金設定を行う際には、この地域性を確認することが重要なポイントとなってくるでしょう。
費用はかかりますがリサーチ会社に依頼するというのも1つの手です。しかし、今回解説した料金設定のポイントを参考にして、自ら行ってみるのも選択肢の1つです。まずは自らリサーチして、その結果に確信が持てない場合はリサーチ会社へ依頼するという方法を試してみてはいかがでしょうか。