民泊とはそもそも旅行者がホストと交流しながら旅を楽しむのがウリですから、宿泊するゲストも一般の宿泊施設のようなサービスを求めているわけではありません。よって、民泊経営をホスト自らが行うことも不可能ではありません。
しかし、民泊経営を専業とするならまだしも、サラリーマン等との掛け持ちで経営する人にとっては、個人で全てを執り行うことは難しいのが実情です。特にAirbnbの利用者は外国人が多いため英語だけでなく、様々な言語対応も必要となってきます。
となれば簡単に民泊経営に乗り出すのも躊躇してしまうのが実情です。そこでそのようなホストの悩みを解消して民泊運営をスムーズかつ効果的に行い、高い収益性を得る手助けとなるのが民泊代行サービス。
この民泊代行サービスは民泊運営で発生する多種多様で煩雑な業務をホストに代わって代行してくれます。
そこで今回はこの民泊代行サービスにはどのようなものがあるのか、そしてその料金はどうなっているのかなど、気になる利用ポイントを詳しく解説します。
民泊代行サービスの内容
Airbnbを利用した民泊代行サービスを経営するには、下記のように立ち上げから運用まで、多種多様な業務が発生します。
立ち上げ時
- 物件探し
- 営業許可申請の届け出
- 内装のインテリアコーディネート
- リフォーム
- 宿泊施設の写真撮影
- ハウスマニュアル作成
- Airbnbリスティングページの作成
運用時
- 宿泊希望者からの問い合わせ対応
- 宿泊者のチェックイン対応
- 鍵の受け渡し
- 室内清掃
- レビュー対応
- トラブル対応
- 緊急時対応
民泊経営を専業とする場合でも、これら業務をすべて1人でこなすのには無理があるでしょう。これら多種多様で煩雑な業務をどこまで外注に委ねるのかによって、下記のように利用する民泊代行サービスは変わってきます。
- すべて請負うサービス
- 清掃代行サービス
- ゲストとのメールを代行するサービス
- 鍵の受け渡しの代行サービス
それでは上記民泊代行サービスはどのような内容なのかを詳しく見ていきましょう。
すべて請負うサービス
このサービスは先に挙げた立ち上げから運用までで発生する業務をすべて代行してくれます。
ホストが行うのはサービス会社と運営方針を決めた上で最終的な打ち合わせを行うだけです。副業として考えている人や、投資家としての見地から民泊経営に着手しようと考えている人にはまさにおすすめの代行サービスとなります。
しかし、全てを代行サービス会社に任せきりになってしまうため、民泊経営のノウハウを習得することはできません。将来的に事業拡大を検討することになれば、また代行サービス会社に頼りっぱなしとなるため、お金を出して収益を上げているという状況から抜け出すことはできません。
また、全てを任せきりにするため、代行サービス会社の選択を誤ると経営も思うように行かず、思ったような結果とならないケースも出てきます。一番手間がかからず運営できるという大きなメリットはありますが、こういったデメリットもあることを押さえておきましょう。
清掃代行サービス
清掃代行サービスは室内清掃だけでなく、宿泊施設の維持に最低限必要な掃除に対応してくれます。1回数万円の費用がかかる家事代行サービスよりも安価で、下記のような宿泊施設向けの掃除サービスを提供してくれるのが大きなメリットです
- リネン類の洗濯乾燥
- アメニティの補充
- ベッドメイキング
しかし、下記のような家事代行サービスなら行う掃除はスルーされるため、定期的にディープクレンジングのために専門の清掃業者を入れる必要が出てきます。
- 空調設備の清掃
- ベランダの清掃
ゲストとのメールを代行するサービス
Airbnbは世界190カ国以上で利用されているグローバルサービスな上、日本人利用者がまだ少ないのが実情です。それもありゲストとの対応には英語が必須となり、多種多様な言語が必要となることも珍しくありません。
この対応をすべて代行してくれるのがメール代行サービス。24時間365日、世界各国から日々寄せられるメールを代行して返答してもらえます。これはAirbnbの民泊経営には欠かせないサービスとも言えますが、すべてを請け負ってくれる代行サービスと同じく任せきりになるため、信頼性の高い業者選びが必須となってきます。
代行サービス会社の選択を誤るとメリットを超えたデメリットを被ることがあるので注意が必要です。
鍵の受け渡しの代行サービス
受け渡しの代行サービスは下記の2つのタイプに分けられます。
- 物件前でスタッフがゲストに直接手渡しする方法
- 指定チェックインカウンターで手渡しする方法
前者の方はスタッフが現地に赴くことになるので料金は後者よりも高めになりますが、下記のメリットがあります。
- ゲストの素性を直接確認できる
- ゲスト人数のごまかしを防げる
しかし、宿泊価格によっては高くなる料金が高コストとなり、収益性を圧迫する可能性もあります。宿泊価格に応じた代行サービスを選ぶ必要があるでしょう。
民泊代行サービスを利用する際の注意点
民泊代行サービスを利用する上で注意しなければならないのが契約内容。利用料金が収益性にどのくらい影響してくるのか、短期解約の場合に違約金の発生はないのかなど、大きな損益を生む原因にもなるため事前確認を欠かすことはできません。
料金相場はいくらなのか?
Airbnbの民泊代行サービスの料金相場は売上の20%~35%となっています。この料金が高いか安いかは意見の分かれるところですが、ここで注意して欲しいのは売上の定義です。
利用する業者によっては違うこともありますが、基本的には売上は売上利益ではなく、売上総額を指すことになります。民泊運営には下記のように様々な経費が発生します。
- 家賃
- 光熱費
- 水道代
ですが民泊代行サービスへの支払いはこれら経費を差し引く前の売上から算出されることになるのです。
仮に売上が60万円の民泊があるとしましょう。そして運営経費が30万円ならば実質利益は残りの30万円となります。しかし、民泊代行サービスへの支払い料金が売上の35%だった場合は、下記の通りとなり利益として手元に残るのはたった9万円になります。
売上60万円 - 運営経費30万円 - 民泊代行サービス料金(60万円 ×35%)
上記計算は経費が50%を占めるので多少極論的なものとなっていますが、民泊代行サービスの料金が決して安いものでないことはお分かりいただけるでしょう。定額料金が設定されていればここまで利益を切迫する結果とはなりませんが、歩合計算となるためいくら売上を上げようとも支払負担は決して楽になるものではないのです。
民泊代行サービスへの支払いは利益率を上げるためにも大きく関係してくるので、支払い歩合についてはしっかりと交渉する必要がありますね。
解約する際の注意点
これはすべての民泊代行サービスに当てはまる話ではないのですが、途中で業者を変える等の理由で短期解約した場合、違約金が請求されるケースもあります。ダメなら帰ればいいと簡単に業者を決めてしまえば、あとで手痛い目に遭うこともあるのです。
そうならないためにも評判がよく信頼度の高い業者選びが必要になってきます。また契約時には将来的なことを踏まえて、違約金請求の条項が織り込まれているかどうかを確認するようにしましょう。
Airbnbにもあるホスト補助サービス
従来Airbnbのホスティング業務を誰かに手伝ってもらうためには、自分のIDとパスワードを教えて対応してもらうしかありませんでした。そこで登場したのが自分のアカウントを教えることなく、業務分担できるようになったのが「補助ホスト」という新機能です。
この補助ホスト機能を使えば知り合いに頼むだけでなく、補助ホストとして対応してもらえるスーパーホストを探してコンタクトを取ることもできます。
補助ホストに支払う料金は話し合いによって決まり、その相場は売上の10%~20%と民泊代行サービスよりもリーズナブルとなっています。交渉によってはさらにお安くできる可能性もあるので、民泊代行サービスを利用する前に検討してみるのも1つの手でしょう。
人気の民泊代行サービス業者一覧
それでは実際に利用されている人気の民泊代行サービス業者を紹介していきましょう。
mister suite
会社概要
業者名 | mister suite |
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本社住所 | 東京都港区北青山3丁目3番7号 第一青山ビル3階 |
対応エリア | 全国対応可 |
料金体系
宿泊取引額の10%~20%
特徴
株式会社SQUEEZEが運営する民泊運用代行サービスで一括サポートを行っています。また請求料金に成果報酬の課金システムを導入しているので、必要最低限の支払いのみでOKなのが大きな特徴です。
また下記のように多くの広告出稿先と提携しているため、稼働率の高さも期待できます。
- Airbnb
- AsiaYo
- Booking.com
- Expedia
- じゃらん
- 楽天トラベル
HOST LINK
会社概要
業者名 | HOST LINK |
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本社住所 | 東京都港区赤坂3-8-8 赤坂フローラルプラザビル4F |
対応エリア |
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料金体系
- 初期費用 5万円/件(税抜)
- 運用代行料金 売上(宿泊料金+清掃料金)の15%と清掃料金
特徴
株式会社オックスコンサルティングが運用するAirbnb向け民泊運用代行サービスで一括サポートを行っています。対応言語は日本語、英語、中国語簡体字、中国語繁体字、韓国語の5言語で、下記のように多くの旅行サイトに対応しているため、高い稼働率が期待できます。
- Trip Advisor
- Flipkey
- Holiday Lettings
- Niumba
- ExpediaグループのHomeAway
- agoda
- Ctrip
- 大魚
- 自在客
- 住百家
- 途家
COLOR-KYOTO
会社概要
業者名 | COLOR-KYOTO |
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本社住所 | 京都市南区東九条上殿田町1 |
対応エリア | 京都限定 |
料金体系
売上に対して10~20%
特徴
Airbnb向け民泊運用代行サービスで一括サポートを行っており、京都在住スタッフの丁寧なサポートが特徴です。また365日24時間完全対応で、病院まで付き添うなどホテルのコンシェルジュ並のトラブル対応がウリです。
物件情報を10件以上の集客サイトに掲載していることから高い稼働率が期待できる上、完全成功報酬型なのでホストは必要最低限の出費ですみます。一時的休業などで利用しない場合には一切費用がかからないのも大きなメリットと言えるでしょう。
GOGO bnb
会社概要
業者名 | GOGO bnb |
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本社住所 | 愛媛県松山市道後湯乃町6-13 |
対応エリア |
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料金体系
- 売上に対して20%(清掃代行料金除く)
- 清掃代行料金 4,000円~
- 部屋セッティング 50,000円~
特徴
Airbnb向け民泊運用代行サービスで一括サポートを行っており、3都市に限定したサービス提供で各地域の地元スタッフを採用実現した丁寧な運用が特徴が特徴です。またAirbnb登録紗に限定した清掃代行サービス飲みの利用も可能で、下記のように細かなサービスが受けられます。
- 部屋の清掃
- アメニティ等の備品の補充
- 洗濯、乾燥(シーツ、タオルなど)
- ベッドメイキング
まとめ
Airbnbを利用した民泊経営は日本においてはまだ発展途上の土地活用ビジネスではありますが、今後の成長は世界的利用率を見れば期待できるものと言えるでしょう。しかし、個人で運営するのは難しいのが実情で、民泊運用代行サービスの利用は必要不可欠となってくるでしょう。
しかし、今回お話したとおり民泊代行サービスにはメリットと同時にデメリットも存在しており、利用時には料金をはじめとする契約内容をよく確認する必要があります。また、運用を丸投げするケースも多いことから、経営を成功させるためにも業者選定は重要なポイントとなってきます。
今回お話した内容を参考にして、上手に民泊代行サービスを利用するようにして下さいね。