アパートやマンションの建設費用の相場と安くするコツ

アパートやマンションの建設費用の相場と安くするコツ

建物が大きければ戸数も増え、それだけ収入に繋がると単純に考えることもできるアパートやマンション経営ですが、建物が大きくなればなるほど「建設費用」が高くなります。初期費用はできるだけ抑えたいところです。

でも一般住宅と違って大きな建物なので「どのくらいの建設費用がかかるか想像できない」という人の方が多いのではないでしょうか。

そこで、今回の記事では「アパート経営したいけど建物の建設費用は安くしたい」と考える人へ参考としてほしい点について解説していきます。

建物の構造別の坪単価

アパートやマンションの建設では、日本では古くからおなじみの木造に始まり、鉄骨造りや鉄筋コンクリート造りなどが代表的なものです。どの構造にすればよいか…については、
建設費用の予算やそれぞれの構造の特徴を踏まえたうえで決めるべきでしょう。

実は、「構造」によって建築費の坪単価は違います。アパートの建築費用の目安を知るためには、この坪単価を参考にすると分かりやすいでしょう。坪単価は、建築する地域や業者によっても違うものですが、ここではおおよその目安についてお伝えしていきます。

木造(W造)

木造は一般住宅でもおなじみ。「Wood(木)」の頭文字をとり、「W造」とも表示されます。柱や壁などを中心に、木材をメインに使用して建てられる建物です。階数の高いアパートやマンションでは木造は見られませんが、2階程度なら賃貸でもよく見かけます。

木造のメリットやデメリット

木を使用しているため通気性に優れているのが特徴です。空気の通り道が少ないと、湿気が溜まりやすくカビの原因にもなるので、「生活空間でのアレルギーが気になる」という人には注目される構造でしょう。

ただ、防音性の面では他の構造に劣ります。特に、足音が響きやすく住民間でトラブルの種となる可能性があるのがデメリットと言えるでしょう。

木造の坪単価

木造の坪単価は、おおよそ40~60万円と考えておくといいでしょう。前述した3つの構造のタイプのなかで最も安く建築できるメリットを持つのが木造です。

鉄骨造(S造)

鉄骨造は、「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」があります。これらの違いは、まずは鉄骨の厚みです。軽量鉄骨が厚さ4mm以下なのに対し、重量鉄骨は厚さ4㎜以上が使用されます。

また、軽量鉄骨の法定耐用年数は19~27年ですが、重量鉄骨の方は34年と長めです。

鉄骨造のメリットやデメリット

鉄骨造は階数の低めの集合住宅でよく採用されています。建物の主要部分である柱が鉄骨で耐震性も高めです。それに、火災にも強いメリットがあります。

ただ、決まった規格のものを組立ていくため、木造と比較すると設計の自由度が低めです。

鉄骨造の坪単価

鉄骨造の坪単価は50~80万円くらいが目安です。軽量鉄骨が50~70万円、重量鉄骨が60~80万円程度です。

鉄筋コンクリート造(RC造)

3種類の構造のなかでも法定耐用年数が最も長いのが鉄筋コンクリート造です。階数の高いアパートやマンションで多く採用されている構造。鉄筋の型枠に流しこまれたコンクリートが建物を支えるという丈夫な工法です。

鉄筋コンクリート造のメリットやデメリット

コンクリートという厚い壁が周囲を覆うので、遮音性が高いメリットがあります。音が伝わりにくい構造なので、木造でありがちな生活音でのトラブルも少ないでしょう。建物の強度も高く、耐震性に不安を感じる人には魅力的な建物です。ただし、気密性が高く結露が起きやすいデメリットもあります。

鉄筋コンクリート造の坪単価

鉄筋コンクリート造の坪単価は、70~100万円が目安です。

建設費用の計算方法

建物全体を建てるには、「建物の大きさ」「建物の構造」「使用する資材」「設備」などの違いによって総合的な金額は異なってきます。しかし、本体工事のみの建設費用は、構造ごとの坪単価を参考にして計算すれば、おおよそ知ることができます。

坪数?延べ床面積って?

計算方法の前に、知っておきたいのが「坪数」や「延べ床面積」というワードです。

坪とは?

まずは「坪」について。建物や土地の長さや面積の単位として、日本では古くから尺貫法が用いられていました。その名残から、今でも建設業界では「坪」「尺」「間」など耳にします。

1坪は約3.31㎡のことで、坪数を㎡数に換算したいときには「○坪×3.31㎡」と計算すればOKです。

例を見てみましょう。

15坪=3.31×15=49.58㎡
30坪=3.31×30=99.17㎡

㎡数から坪数に換算したいときには、その逆で計算していけばよいのです。

100㎡の面積なら、100㎡÷3.31=30.2≒30坪 という計算です。

延床面積とは?

建物の床面積をすべて合計したものが「延床面積」です。例えば、1階部分が30坪の2階建てのアパートなら、延床面積は60坪ということになります。

建築費の計算方法について

建築費の計算をするためには、「坪単価」に「延べ床面積」をかけることになります。ただ、延べ床面積が「㎡」という単位で表示されていれば、「坪」に直してから計算する必要があります。

例えば、各階の床面積が40坪の2階建ての木造アパートだとします。延べ床面積は、40坪×2階=80坪ですね。40~60万円という木造の坪単価から考えると、「40万円×80坪=3200万円」「60万円×80坪=4800万円」となり、3200~4800万円が建築費と考えることができます。

ただ、建物は敷地をすべて使って建てることはできません。その土地が存在する地域ごとに「建ぺい率」が決まっています。建ぺい率とは、敷地面積のどの割合まで建物を建ててもいいかを表わすものです。

例えば、300㎡の敷地で建ぺい率が60%と指定されていれば、1階の面積は300㎡×60%=180㎡までは建築できることになります。

また、容積率という指定もあります。これは敷地に対する延べ床面積の限度です。仮に、容積率が200%と指定されていれば、300㎡×200%=600㎡という延べ床面積までOKです。

このような建ぺい率や容積率は、土地の存する用途地域ごとに指定されています。接道状況によっては、率が緩むケースもあります。

アパートやマンションを建設する際の注意点

アパートやマンションの建設は、一般住宅よりも規模が大きく、費用は高くなることが予想されます。多くの人は「安く建てたい」と考えるものですが、アパートやマンションは建てた建物が利益とも関係してくるので注意する点もあります。

建設費を安くするには?

建設費のおおまかな額は、構造ごとの坪単価から計算していきますが、あくまでもおおまかな目安となります。当然のことですが、構造を強度なものする、階数を高くして部屋数を増やす、などにすれば費用は高くなります。

安くするには、建設費を左右する要因である「構造」を選ぶといいでしょう。木造なら、坪単価が安く、同じ延べ床面積でも建設費が抑えられます。

ただ、階数が低ければ建設費は安く抑えられますが、利益が少なくなり初期費用の回収には長期的な時間もかかりリスクとなるでしょう。また、坪単価で表される建設費は建物だけの本体工事費用ということも気をつけなければなりません。

それ以外にも、設備の導入があります。最新式のグレードの高い設備を考えれば、かなり高くなるでしょう。また、水道やガス、電気といったライフラインの工事や建物の周りを整えるための外構工事にも費用がかかります。

概算でおおまかな建設費用を計算しても、細かな点までは分かりにくいのが現状。建設費を安くするためには、いくつかの業者に見積を依頼するのがコツと言えるでしょう。複数業者を比較することで、見積価格が妥当かどうかも自然と見えてきます。

家賃は年々下がっていく

新築のころは、家賃を高めに設定しても「新築」という理由で人気があります。立地にもよりますが、同じエリアで築年数が古いアパートと比較すると、多くの人に検討してもらえる建物です。

しかし、建物は年数が経過すれば劣っていくのは避けられません。古くなったアパートに対して、新築の頃の家賃を設定しても高すぎて借りる人はいなくなるでしょう。

そこで、築年数に応じた家賃を見直す必要が出てきます。当然のことながら、家賃が下がっても世帯数は変わらないので結果的に総収入は少なくなります。同時に、老朽化した建物を修繕していく費用が増えることを事前に考えておく必要があるでしょう。

アパートやマンション経営では、家賃は年々下がっていくことを踏まえつつ、長い目で利益を計画していくことが大切です。

まとめ

アパートやマンション建設では、木造にすると費用を抑えられるかと思います。ただ、建てる階数によっては木造が適していないケースもあります。それに、今後の耐久性も変わるので、それぞれの構造の特徴をよく理解しておくことも必要です。

アパート経営は建てたら終わりではありません。今後、利益を生んでもらう建物にしなければならないので、借手が見つかりやすい魅力的な物件に設計してもらうのも大事なことです。

坪単価の目安を参考に、自分でおおその相場を知ることもできますが、依頼する業者によって詳しいプランニングが違うので、実際に見積を取り相談するのがおすすめです。複数の業者を比較し、分かりやすく親身になってくれる業者に依頼するようにしましょう。

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