「実家が空き家のまま…」「相続した土地を遊ばせている」など使い道のない土地があると、「活用方法はないものか…?」という思いを持つものですよね。
持っているだけで税金を支払わなければならない不動産ですが、上手く利用できれば「プラスの資産」が生まれます。土地活用で新たな価値を見出すことができる土地となります。
土地活用をするにあたって「初期費用はあまりかけたくない」とお金について心配する人も多いでしょう。
そこで、どんな土地活用の種類があるのかを紹介しながら、初期費用やリスク面からも徹底比較していきたいと思います。
初期費用を比較
土地活用には、簡単に始められるものから、なかには初めに大きなお金を投資しなければならないものまでさまざまです。「できれば初期費用が少ない方がいい」と初期費用の少なさを希望条件に考える人も多いでしょう。
それでは、いくつかの土地活用の初期費用を比較していきましょう。
駐車場経営
初期投資が少なくて済むので、駐車場経営はお手軽に始められる土地活用法のひとつと言われています。どんな駐車場にするかによって初期費用は異なりますが、極端な例だとゼロ円からのスタートもできることがあります。
平面駐車場の場合(月極駐車場)
月極駐車場など、土地を区切って駐車させる平面駐車場なら、初期費用を抑えられるメリットがあります。
まずは、重量のある自動車を停めることに耐えられるように地盤を丈夫にする必要があります。砕石を敷き詰める整地なら、10台程度の駐車区画で30~40万円程度の費用がかかります。アスファルトなどで舗装せずに、砂利敷きのまま駐車場にするにはロープで区画をするだけでよいので全体的に見ても50万円以内でおさまることが多いでしょう。
一方、アスファルトに舗装する場合には平米単価5000円前後(㎡あたり)、コンクリート舗装だと10000円前後(㎡あたり)が相場の目安です。そして舗装後には、車の区画を示すライン引きの作業が必要です。駐車台数によって異なりますが、おおよそ5~10万円程度が相場となっているようです。例えば、200㎡の土地を活用するのであれば、初期費用として100~200万円程度かかることが予想されます。
コインパーキングの場合
土地が狭くても集客が見込めそうな立地にあれば、コンパクトなコインパーキング経営もできます。
コインパーキング経営には「自分で運営をするスタイル」と「運営会社に運営をすべて任せるスタイル」と2つの運営スタイルがあります。
自分で運営する場合の初期費用について見ていきましょう。月極駐車場と違い、清算機や遮断機、ロック板などの機械を設置するために費用がかかります。また、コインパーキングにするために整地してアスファルトを敷かなければなりません。
駐車場の台数にもよりますが、10台未満程度のスペースなら初期費用として300万円程度が相場となっています。
一方、運営会社にすべてを任せるスタイルなら、土地を貸し出す際にアスファルト舗装の費用のみ負担するケースが多いです。
また、土地をそのままの状態で貸し出すだけの「一括借り上げ」というシステムなら、運営会社がすべて経営してくれます。その場合、初期費用はかかることはありません。
トランクルーム経営
自宅が狭く荷物置き場が足りない、引っ越しの間に荷物を預けたい、リフォーム中に一時的に荷物を保管したい、キャンプ用品やスタッドレスタイヤなど季節ものの道具の置き場所にしたい…など、気軽に利用できる収納スペースとしてトランクルームの人気は高まっています。
土地活用で注目されているのは「コンテナ型」と言われる屋外タイプのトランクルーム。コンテナを設置するだけなので、建物を建築するのと違い、初期費用は抑えられるメリットがあります。土地の広さによってコンテナを何基設置するかが変わります。
一基のコンテナはいくつかの部屋に分けて使用しますが、間仕切りの改造が複雑になれば工事費用が高くなってきます。一基を購入するには80万円程度と考えておくといいでしょう。また、コンテナを設置するまえに土地を舗装するなど下地の工事も必要。仮に5基ほど設置する場合でも総額で500万円前後からが初期費用として考えておくといいかもしれません。
コインランドリー経営
一人暮らしや共働きという理由で洗濯などの家事に割く時間が少ない方など、忙しい現代人の生活に強い味方となるコインランドリーの土地活用もあります。大きな洗濯機があるコインランドリーは、布団などの大きなものを洗えることで一般的な家庭の利用者数も見込めます。
近頃、注目されているコインランドリー経営の初期費用についてですが、建物を建てる建築費だけでなく「洗濯機・洗濯乾燥機・大型乾燥機・2段式乾燥機」など機械の導入などにかかる初期投資が高めです。
コインランドリーの規模や洗濯機など機械類の台数によって初期投資額はケースバイケースですが、目安として1000~2000万円くらいは考えておくべきでしょう。
太陽光発電
アパートやマンション、駐車場など集客が見込めないような郊外の空いている土地で注目されているのが太陽光発電という土地活用法です。
太陽光発電を始めるときに必要なのは、「土地の整地代」「太陽光発電パネルなどの機器代」「設置工事費用」「電気の配線工事費用」などです。土地の現状によって初期投資額は変わりますが、1000万円前後が相場のようです。
土地を貸す
土地活用と聞くと「アパートやマンションなど賃貸住宅を建てて貸し出す」と考える人が多いかもしれません。さらには、駐車場経営やトランクルーム経営などがあります。
それ以外に「土地を貸す」という土地活用方法もあります。
土地の貸し出し方のパターン3つ
土地を貸すことで地代という収入が得られる方法には、貸す期間の違いで3つのパターンがあります。
まずは、借地期間が50年以上と一番長いのが「一般定期借地権」。契約期間が満了したら借りた人は建設した建物を取壊し、更地にして返さなければなりません。
次に「建物譲渡特約付借地権」。借地期間は30年以上で、契約期間が満了したら建てられた建物を貸主が買い取ることになります。土地を貸した後に建物が残ることになりますね。
そして「事業用定期借地権」。契約期間は10~20年と短期間です。契約が終わったら、更地にした状態で返還してもらうことになります。この契約は、コンビニやファミリーレストランなどの事業目的の利用に限るという条件がついています。
土地を貸してコンビニにする土地活用法
立地があまり恵まれていなくアパートなどの賃貸物件に適していなくても、幹線道路沿いにあるなどコンビニに向いている土地もあります。
先ほどお話しした事業用定期借地権は、コンビニを経営する側が建物を建設するので「土地を貸す」というだけでOKです。ただ、土地の状態を貸し出しできる状態にするための整地が必要。土地の面積によって整地費用は変わりますが、数百万円はかかると考えておくといいでしょう。
また、コンビニ土地活用にはもうひとつのスタイルがあり、それを「リースバック方式」と言います。
この方法は、土地の所有者が建物を建設してからコンビニ経営する側に貸し出す方法です。初めに建物を建ててから貸すので初期費用がかかります。ただ、土地代にプラスして建物についての賃料も受け取ることができるので、単に土地を貸すだけよりも収入としては高額になるでしょう。
土地を整地するだけでも数百万円ですが、コンビニを建設する費用がかかります。初期費用として3000万円前後のお金が必要になると想定しておくといいかもしれません。
老人施設事業者に土地を貸す方法
郊外などの静かな環境で賃貸住宅やコンビニに向いていないケースでも、面積が広い土地なら老人施設などが向いているかもしれません。
貸す側で建物を建てなくても、老人施設事業者に土地だけを貸すことができます。初期費用としては、一般的には土地を整地する費用だけで済むケースがほとんどでしょう。
広さによっては数百万円の費用がかかると思いますが、数十年もの長期間にわたって土地を貸していれば毎月得られる収入で回収していけるでしょう。
リスクを比較
土地活用をするときには初期費用のことだけでなく「どんなリスクがあるのか」を考えておくことも大事です。それでは、考えられるリスクについて土地活用法ごとに見ていきましょう。
駐車場経営
駐車場経営には、契約者を募集して月単位で貸し出す「月極駐車場」、時間で貸し出す「コインパーキング」があります。どちらも建物を建てなくても土地を活用できる方法なので土地活用としては注目されています。
駐車場経営のリスクとしてあげられることは、利用する人がいなければ収入が見込めないことです。月極駐車場なら周辺にアパートやマンションなどがなければ、借手が見つかりにくいかもしれません。
コインパーキングの場合、駅や商店街、飲食店など人が集まる施設が近隣にないと収益が少ないでしょう。収益面で考えると「立地に左右されやすい」という土地活用方法と言えます。
また、コインパーキングの場合、すべて自分で運営および管理をする自営型での駐車場経営では管理に手間がかかることが予想されます。そこで、手元に入ってくる利益は少なくなりますが、運営会社にまかせる一括借り上げ型にもできます。運営から管理まですべて行ってもらえるので、管理の手間を避けたい人にはおすすめの方法とも言えるでしょう。
トランクルーム経営
アパートなど賃貸物件を建築するには、建物の建築費というコストがかなり大きいもの。それと比較するとコンテナを設置するトランクルーム経営は、低投資で始められるメリットがある土地活用法でしょう。
ただ、治安面で考えると不安要素が大きいかもしれません。「無人」のコンテナを貸し出すトランクルームなので、盗難の被害のリスクが高まります。借りている人が契約規則に反する使い方をしてトラブルになることもあるでしょう。
また、一つの部屋の賃料が少ないので、部屋数が少ないとそれほどの収益に結びつかないかもしれません。だからと言って無理に部屋を増やすと逆に「管理が煩わしい」という結果を招くこともあります。
自己運営をするには管理の手間が煩雑になるリスクが考えられますが、運営会社に任せるとそれほどの収入が見込めないデメリットもあります。
コインランドリー経営
コインランドリーは「洗濯機」という機械をフル稼働させて収益を生み出します。集客数にもよりますが使う頻度が多くなると機械がダメージを受けるでしょう。機械の故障などのトラブルが起きれば当然対処をしなければなりません。
修復が無理な故障となれば新しい機械に買換えるケースも想定しておかなければならないでしょう。トラブルが起きる前に定期的なメンテナンスで管理しておくことも必要です。初期投資に結構な費用をかけていても利用回数あたりの単価は数百円と低め。初期投資を回収するには長期戦となるようです。
また、無人での経営のため防犯面でデメリットもあります。コインランドリーは、昼夜問わず誰でも入ることができます。そのため、洗濯をするという目的ではない人も簡単に入り治安が悪くなることもあるでしょう。
無関係の人が数人でも集まっているのを見て、本来のお客さんが入りにくいと入店をためらうこともしれませんよね。噂が広まり悪評判になると一気に集客数が減ってしまうのもリスクのひとつです。
それに、近隣にライバル店が出現し利用者数に変化があれば売上に響くことも…。
このように、無人でのコインランドリー経営は手軽なようでいて、実は難しい面も多いです。最終的に初期投資を回収しないまま閉店しなければならないリスクもしっかり想定しておくべきなのかもしれませんね。
太陽光発電
土地の立地や広さに左右されずに始められる太陽光発電は、近年土地活用方法としても注目されています。自治体の補助制度を利用できることもありますし、建物を建設して賃貸経営するよりも運営管理が楽なことも魅力と考えられています。ただ、一方でリスクも考えておかなければなりません。
パネルが屋外に設置されているため、地震や台風、落雷といった自然災害の影響を受けやすい特徴があります。機器の故障や破損トラブルにより、発電できない期間が生じてしまうでしょう。
また、太陽光発電は、名前からも分かるように「太陽」を武器にして収益を生み出す方法です。土地に太陽が当たらなく、思うように発電量が伸びないこともあるかもしれません。
設置したときには何の問題がない土地でも、数年後に土地への陽射しに影響をもたらす高いビルが建ってしまうなど、状況の変化が起こるリスクもあるでしょう。当初見込んでいた利益が得られず、初期費用が回収しにくくなることもリスクとして考えておくことが必要です。
土地を貸す
土地を貸すパターンとして「土地だけを貸し出す」「建物を建設して貸し出す」と二つがあります。ここでは、コンビニと老人施設にするケースの土地活用法のリスクをお話しします。
コンビニの場合
地域の人たちの毎日の生活に深く関わりを持てるコンビニの土地活用法が注目されてきています。「人が住むには適していない」という土地でも「車通りが多い」という道路に接しているとコンビニを建てても集客できるので、有効な活用法と言えるでしょう。
コンビニのために土地を貸すとき、契約期間が長めです。その間に、土地を返して欲しい事情ができても「契約期間中は土地を返還してもらえない」というリスクがあります。
また、リースバックでコンビニを建てた場合には契約期間後に残った建物をどうするかという問題あります。その後、賃貸にする方法もありますが「コンビニ」という用途で建てた建物だと、他の事業で利用するのは難しくなるため、新たにコンビニ経営をする会社にしか貸し出しができないなど利用者が限定されてしまいます。
それに、売り上げが思うように伸びず、契約期間内に経営側から契約を解消されることもあるかもしれません。
リースバックでコンビニを貸主側で建設してしまった場合には、建物だけが残ります。コンビニ経営側からの賃料を考えて投資した初期費用は回収できないまま借金だけが残るでしょう。これについては契約時にきちんと詳細の取り決めが必要になります。
老人施設の場合
「事業用」のコンビニと比較すると、「居住用」の老人施設は土地を貸す期間も長めになります。契約期間が30年以上で終了後に建物を買い取る「建物譲渡特約付借地権」だとしてもかなり長い期間ですよね。期間が長いですが、その間は自分の都合で土地を売却することもできません。
また、契約が終わった後に建物を買い取ったケースでは、その後の建物の活用方法が上手くできるかという問題も残るでしょう。
まとめ
土地活用法をいくつか紹介してきました。初期投資やリスクの少なさで考えると駐車場経営が手軽に取り組みやすい活用方法と考えることができます。
周辺にアパートやマンションなどの賃貸物件が多い土地なら、駐車場を利用する人の数も比較的安定していて運用に向いているでしょう。駐車場経営は、建物を建てていないため、急に土地を売却するケースになっても解体費がかかることもなく、リスクが少ない方法です。
立地条件によって駐車場に向いていない土地もありますが、その他の活用方法と比べると初期費用が圧倒的に少なくて済むのが大きな魅力です。