市街化調整区域でも土地活用することはできるのか?

市街化調整区域でも土地活用することはできるのか?

市街化調整区域とは、原則として市街化のための開発を行えない区域のことです。開発を行えないよう様々な規則や制限が設けられており、そのため市街化調整区域の土地活用は一筋縄ではいかないでしょう。

とはいえ、全く土地活用できる方法がないということではありません。今回は、市街化調整区域にある土地をうまく活用する方法について紹介します。

土地活用するには

市街化調整区域には、各都道府県により原則として建物を建設できないよう細かな制限が設けられています。

このような土地を活用するときには、建物を建てない活用を行うか、特別に許可をもらって建物を建てるかを選ばなければいけません。

建物を建てない活用を行う

市街化調整区域において、もっとも行いやすいのは建物を建てない土地活用です。建物を建てないため、初期投資とリスクも少なく、土地活用初心者でも手を出しやすいというメリットがあります。

活用していく中でも複雑な管理もほとんど必要がなく、特に駐車場経営や定期借地であればトラブルも少ないでしょう。日当たりのいい土地であれば、ソーラーパネルの建設も検討できます。

しかし一方で、投資が少ない分リターンも少ないというデメリットがあります。

許可を得て建物を建てる

市街化調整区域に建物を建てたいときには、役所と協議を行うか、役所から許可をもらわなければいけません。

役所の協議と届け出だけで建設できるのは、福祉施設、幼稚園や小学校、医療施設などです。このように、市街化調整区域に建てられる建物は個人が気軽に建設できるものではないため、現実的にはとても難しいでしょう。

手続きは複雑になりますが、これ以外にも「役所からの許可」を得ることで建設可能となる建物があります。具体的には、市街化調整区域に住む周辺住民の生活に欠かせない物品の販売や修理等を行う店舗や地域産業に欠かせない建物、給油施設などです。

どうしても建物を利用する土地活用を考えている方は、役所から許可を得ることができるこれらの建物の中から活用法を考えなければいけません。

市街化調整区域で人気の土地活用

このように、市街化調整区域での土地活用は簡単ではありません。実際に市街化調整区域にて土地活用をしている人はどのような方法を選んでいるのでしょうか?

市街化調整区域で人気の土地活用法をピックアップしてご紹介します。

資材置き場として土地を貸す

市街化調整区域では、トランクルームとしての活用はできませんが建設業者や道路工事業者の資材置き場として土地を貸し出すことは可能です。

土地の近くで工事があるときなどは、相手方から資材置き場としてのオファーが来ることもありますが、そうでない場合には不動産業者に需要がないか尋ねてみましょう。

資材置き場貸し出しによる賃料は決して高くありませんが、固定資産税分だけでも回収したい、という方には初期投資ゼロのこういった活用法がおすすめです。

駐車場にする

市街化調整区域では駐車場経営も人気ですが、実際に行う場合には利益が見込めるかをよく計算する必要があります。駐車場経営は確かに初期投資はいりませんが、その分収益性も低くなっています。

駐車場にしたのはいいけれど思ったような収益が上がらない、ということがないよう、独自に需要を調査するか、不動産業者に「駐車場としての需要がありそうか」よく確認しましょう。

ソーラーパネルによる売電

山間地域でも人気のソーラーパネルは、その他の土地活用とは異なり需要を調べることなく行えるため人気です。

日当たりが確保できていれば安定した利回りとなり、建物を建てない土地活用の中ではもっとも高い収益が期待できます。初期費用として数百万円が必要ですが、国が電気を最大で20年間買い取ってくれるため、建物を建てない土地活用の中ではもっとも安定した経営ができるでしょう。

市街化調整区域での土地活用において、一番最初に検討したい活用法です。

医療施設

大規模な土地活用になりますが、医療施設を建設する方法もあります。これなら役所の許可を取らなくても協議のみで建設可能です。

ただし、初期投資として最低でも数千万円が必要となります。地主が建物を建てた後は、土地と建物を丸ごと貸出すことで土地活用が可能です。

しかし医療施設を建てるためには、病院を経営したい医師または医療法人を探さなければいけません。建築は医療施設建設も行うハウスメーカーに依頼しましょう。

介護福祉施設

福祉施設である介護施設も、役所との協議と届け出のみで建設可能です。

介護施設の場合には、社会福祉法人と共同で建築する必要がありますが、ニーズも利回りも高く、土地活用としてはうまみが大きいと言えます。しかし病院と同じく数千万円以上の費用が必要なこと、社会福祉法人を探さなければいけないことから簡単にはできない土地活用法です。

許可を得るための手続き

市街化調整区域での人気の土地活用法は、いずれも役所への許可申請がいらないものでした。しかし商店その他を建設して土地活用したいときには得なければいけません。

実際に、役所で許可を得るためにはどのような手続きを行わなければいけないのか見ていきましょう。

都市計画法43条許可申請

市街化調整区域に建物を建設するときには、「都市計画法43条許可申請」を行わなければいけません。

ほとんどの場合、市街化調整区域に住む人が住宅を建設する際に申請するものです。例外としてドライブインや給油所、市街化調整区域に住む人に必要な商業施設が挙げられます。

ドライブインや給油所では、交通量が多い県道や国道沿いに限られ、店舗等は開発区域から一定の距離の位置のみ許可と厳しい制限が設けられています。

都市計画法43条許可申請から許可までの流れ

厳しい基準をよく理解し建物建築の計画を立てたら、実際に許可申請を行いましょう。

まずは開発計画事前審査申請を提出します。役所内にある事前審査専門部会にて審査が行われ、「問題なし」とされると通知書が交付されます。

再び役所に行き、開発行為許可申請を行いましょう。役所内で検討の結果開発許可がおりたら、さらに役所で工事着手届を提出してください。途中建築確認申請を行い、最後には工事完了届を提出します。

建物が完成した後は、完了検査がおこなわれ検査済み証が交付されます。このように、申請から建築までは何度も役所に足を運ばなければならず、多大な労力が必要となります。

許可申請のフローチャート

開発計画事前審査申請
↓事前審査専門部会による審査問題なし
開発行為許可申請
↓許可
工事着手届

建築確認申請
↓完了審査後、建築確認済証
手続き完了

都市計画法43条許可申請に必要なもの

許可申請に必要なものは以下の通りです。

必ず用意するもの

  • 申請地を示す地図
  • 申請地の公図の写し
  • 土地登記事項全部証明書
  • 土地利用計画図
  • 建築予定建物の平面図や立体図
  • 土地利用計画書

場合によって必要なもの

  • 農地法許可書
  • 建物登記全部事項証明書
  • 道路位置指定台帳の写し
  • 建築確認済通知書
  • 都市計画法の許可写し

このように市街化調整区域の建物許可申請には時間と手間が必要になりますが、建築する業者が手助けをしてくれるでしょう。許可申請について不安なことや聞きたいことがあれば、実際に建築するハウスメーカーや業者にその都度尋ね、不安を解消しながら建築を進めていきましょう。

まとめ

市街化調整区域での土地活用で最もおすすめなのは、許可のいらないソーラーパネルの建設です。面倒な手続きを必要としないソーラーパネルは、数百万円の初期投資で安定した収入を見込めます。

大規模な土地活用を考えている方は、役所との協議と申請のみで建築できる医療施設や介護施設も視野に入れてみましょう。初期投資として数億円かかることもありますが、高利回りが期待できます。

商店その他は手続きに時間と労力を必要とするため、実行するときには建物を建設する業者の手を借りながら許可申請を進めていきましょう。

関連ページ

土地活用の種類・プランを初期費用やリスクの少なさで比較
土地活用の利回り(収入)の目安はどれくらいなのか?
土地活用する際のローンはどこから借りればいいの?
土地活用で節税効果が高くておすすめなのはどれ?
10坪、20坪、30坪の狭い土地(狭小地、変形地)で人気の土地活用
50坪、80坪、150坪の広い土地(広大地)で人気の土地活用
土地活用の相談やセミナーはどこがおすすめ?