土地活用で節税効果が高くておすすめなのはどれ?

土地活用で節税効果が高くておすすめなのはどれ?

アパートなどの賃貸経営や、更地のまま運用できる駐車場経営など、これらの土地活用を節税対策でおこなう方も多くいます。

そこで今回は、土地活用をすることで、どんな「税金」が軽減できるのかについて詳しく解説します。節税効果がある土地活用方法についても紹介しますので、土地活用で節税をしたいという方はぜひ参考にしてください。

節税効果が高いのはアパート経営

土地活用方法のなかでも税金を高い割合で軽減できるのがアパート経営です。

賃貸経営で節税できる項目

更地のまま放置している土地は固定資産税の支払いなどマイナスの支出が増えていくだけですが、アパートを建てて賃貸経営をすれば収入としてプラスの収入が発生します。また、賃貸経営で嬉しいのは税金の軽減措置が大幅にあることです。

固定資産税の軽減

更地として「土地だけ」を持っているのと比較すると、土地上に建物が建っている方が税金は少なくてすみます。固定資産税は「土地」と「建物」に分けて計算されますが、アパートなどの賃貸用の建物が建っているケースだと200㎡までの面積なら「小規模住宅用地」として標準課税の1/6の税額になります。

もし、200㎡を超えたとしても超えた部分に関しては「一般住宅用地」として標準課税の1/3に軽減されることになります。つまり、建物が建っていた方が税金の減額が大きくなります。

また、建物に関しても税金が抑えられます。賃貸用の建物として本来の評価額の半分程度までの額として計算されるので大幅な税金の減額が期待できるでしょう。

相続税の軽減

不動産を持っている以上、「相続」という事実は切り離せない現実です。自分が「相続人」として親から不動産を受け継ぐこともありますが、自分の所有している不動産を誰かに相続させることもあるでしょう。そんなときに、不動産の額に応じて税金が徴収されるのが相続税です。

アパートなどの賃貸用の建物が建っている土地は「貸家建付地」と考えられます。貸家建付地の場合、一般的な更地や住宅とは違った特例が受けられます。

200㎡までの土地部分については「小規模住宅用地の特例」が適用され、本来の評価額の1/2として評価されます。土地によって変わる借地権割合が異なるので一概に言えませんが、更地と比較するとおおよそ8割前後の減額が期待できるでしょう。

また、賃貸用の建物ということで建物の分の評価額も低めに評価されて節税が可能です。

所得税の軽減

アパートを建設すると初期費用が多く、アパート建築のためにローンを組んだ人は返済が長く続きます。できれば税金は抑えたいところ。それに、所有している間はずっと土地および建物に固定資産税がかかります。さらには、火災保険料や修繕費用など経営を続けていくために管理費やメンテナンス費用という支出があります。

おそらく、軌道に乗るまではアパート経営への支出が大きいのです。アパート経営をすることで月々賃貸収入は得られるものの、一方で支出の方が大きく結果的に「赤字」となっているわけです。

副業としてアパート経営をしている場合には、本業であるサラリーマンとしての給与分と賃貸収入を合算し、賃貸経営でマイナスとなった分が計算できる仕組みとなっています。

つまり「給料収入やアパート収入はあるけれど、賃貸経営で経費がかかって赤字」と申告することで、給与所得で計算されている税金額が払い過ぎている場合には戻ってくることになります。賃貸経営の分の収入の確定申告は「納める」というよりも「還付してもらう」という意味合いとなります。

都市計画税の軽減

都市計画税も建物が建っていると軽減ができます。賃貸用の建物が建っている場合、200㎡までの部分は1/3、200㎡を超える部分は2/3と固定資産税評価額の標準課税額から軽減措置があります。

アパート経営以外で節税効果が期待できるもの

土地活用の方法は、アパートやマンションなどの賃貸経営以外にも戸建賃貸やサービス付き高齢者住宅などがあります。建物を建てずにできる駐車場経営も近頃人気です。これらの節税効果について説明していきたいと思います。

人気の駐車場経営の節税効果

駐車場経営は初期費用があまりかからないので、始めやすい土地活用方法と考えられています。整地後に線を引いただけの青空駐車場、機械を設置したコインパーキングなどもありますよね。いずれにしても管理がしやすいメリットが人気です。

駐車場経営は、建物が建っていないので「土地」分のみについての固定資産税および都市計画税が課せられます。しかし、前述のとおり、建物が建っていないため更地としての評価。住宅用地のように軽減措置がなく、評価された税額に応じて支払わなければなりません。

ただ、駐車場経営のための管理費、そして毎年支払っている固定資産税などは「経費」として申告することができます。もし、駐車場経営の収入があまりなく「経費が大きすぎる」ということでも、サラリーマンとしての給与所得があるなら合算することができます。

駐車場経営以外の所得や経費の申告内容によっても異なりますが、申告によって少しでも節税に繋がる可能性もあります。「節税」という観点で考えるとすれば、アパート経営よりは税金の支払う額が大きくなるデメリットがあります。

戸建賃貸

アパートなどの集合住宅よりは規模が小さくなりますが、賃貸用の建物が建っていることで節税の恩恵が受けられ、200㎡未満の敷地は、土地の固定資産税が1/6、そして都市計画税は1/3までと軽くなるでしょう。

また、賃貸経営をしていくための管理費などについては経費として計上できます。実際の収入から、賃貸経営するための経費を差し引いた分の「所得」について課税対象となり、更地として持っているだけの状態と比較すると節税効果はあるでしょう。

アパート経営と同様に「貸家建付地」になるため、相続税の評価額にもプラスの影響があります。ただ、アパートと比較すると相続税に関してはあまり節税の期待はできないかもしれません。それでも現金あるいは更地として所有しているよりも評価が軽くなるので、相続税対策としては有効と言えるでしょう。

サービス付き高齢者住宅

出生率が年々減少している近年、高齢化の進み方が急速で、高齢者が安心して暮らすための高齢者住宅の需要はかなり高くなっています。ある程度の広さの土地を持っていれば、このような高齢者住宅への活用もできるでしょう。

高齢者用の施設と言ってもいろいろ種類がありますが、今回は「サ高住」と呼ばれることもあるサービス付き高齢者住宅について考えてみましょう。

サービス付き高齢者住宅とは?

施設ごとに入居の条件が異なりますが、介護施設とは違って住む人の多くが比較的元気だという特徴があります。施設内では、毎日の安否確認や生活相談を受けることができ、安心した生活を送ることができる魅力があります。

建設には補助金が受けられる

「建物を建てるために多額のお金が必要」というイメージが強いですが、実は建築するにあたって国から補助金を受けることができます。施設の規模や種類、設備内容によって補助金の額は異なりますが補助率は建設費用の1/10程度です。

税制面での優遇もある

新築で建設する場合の補助金だけでなく、税制面での優遇も期待できます。

所得税・法人税

所得税・法人税は、建物の耐用年数が35年以上なら5年間の間、減価償却を普通償却の40%を割増償却することができます。

固定資産税

土地の固定資産税は、賃貸用の建物ということで200㎡までの分については1/6、200㎡を超える分については1/3に減額されます。また、建物の固定資産税は5年間、通常の固定資産税の2/3に減額されます。(ただし、1戸が30㎡以上、10戸以上を有する施設という要件があります)

相続税

サービス付き高齢者住宅は、賃貸用の建物なので「貸家建付地」となり、相続税の評価に関しても減額されます。借地権割合は地域によって異なりますが、更地として保有している状態よりは大きな節税となるでしょう。

税金の仕組みを理解しよう

土地活用で収入が得られるなら状況に応じた申告が必要になります。ここでは、不動産に関する税金の種類と確定申告の方法について解説していきたいと思います。

土地を所有しているだけでかかる税金

初めに少しお話ししましたが、その土地の活用の有無にかかわらず「持っているだけ」で支払わなければならない税金があります。

固定資産税

毎年の初めの1月1日時点で土地を持っている人が、土地が所在する市町村に納めるべき税金です。それぞれの評価額に応じて、自治体ごとに決められている税率をかけた計算方法で税金が決定します。

相続税

自分が所有している不動産があれば、相続のときに評価額に応じた相続税が発生します。税額の計算方法は、基礎控除部分と相続人の人数によって割りだされます。基礎控除額に法定相続人の人数をかけた額以上の財産があった場合に、それに応じた相続税を支払うことになります。

「現金」あるいは「更地」の場合、軽減の特例がないので相続税が多く発生する可能性がありますが、建物が建っていると軽くなるので相続税対策として注目されています。

都市計画税

土地計画税は、所有している不動産が「市街化区域」という地域の範囲内にあると課せられる税金です。「市街化区域って何?」とそもそも言葉自体を耳にしたことがない人もいるかもしれません。

市街化区域とは、都市計画における区分のひとつです。どういった区域かを分かりやすく言うと、「今すでに市街地として街並みが形成されていて、さらに優先的に市街化を図っていこうと考えられている区域」です。つまり、今後市街地としてさらなる発展が期待される地域ということになります。

対して、市街化調整区域は「今後、開発を控えて市街化を抑えて行こう」と考えられています。

都市計画税は、前者の市街化区域にある不動産に課せられ、都市計画事業のために使われることになります。固定資産税と同じように、税額の計算に用いられる税率は自治体ごとに異なるので確認しておくといいでしょう。

確定申告の義務がある

会社員として仕事をしている人は、1年の給料に応じて税金が計算されます。基本的に会社でやってくれるので、なんとなく税金の仕組みが分かりにくく感じるかもしれません。

しかし、会社勤め以外に「アパート経営をしている」などにより、給与所得以外に20万円以上の収入があるなら、これについても税金の対象となるので申告しなければなりません。それが確定申告です。

「給与所得でも税金が徴収されているのに、賃貸経営の収入についても税金が課せられるの?」とマイナスイメージを持つかもしれませんが、実は申告することが節税に繋がるケースが多いのです。賃貸経営の収入の申告については義務であると同時に「しっかりと申告することで還付金が受けられるかもしれない」と考えておくといいでしょう。

確定申告の期限に気をつける

確定申告は1月1日から12月31日までの収入について、翌年の2月16日から3月15日までの間に書類を揃えて提出する必要があります。

確定申告は「青色」で申告する

会社員の場合には、年末調整として会社に必要書類を提出するだけでOKなので、「確定申告のことはよく分からない」という人も多いかもしれません。

白色申告と青色申告は控除額が違う

確定申告には「白色申告」と「青色申告」という2つのタイプの申告方法があります。「白」や「青」と言われても何が違うのか分かりにくいですが、簡単に言うと控除額が違います。白色申告は所得控除がありませんが、青色申告は「10万円控除」あるいは「65万円控除」が受けられます。

65万円控除を受けられるのは、賃貸の規模が大きいケースです。事業的規模と言って、「建物が5棟以上」「10室以上」という基準を満たしている必要があります。そのため、「65万円控除を受けたい」と思っても「1室だけの賃貸経営である」というケースならば、当てはまりません。

青色申告は事前に申請が必要

青色申告は控除額が大きく税金の軽減効果がある方法ですが、注意したいのは事前に申請しなければならないことです。例えば「今年の収入分について青色申告したい」となれば、「来年の確定申告で青色申告しますよ」と今年の3月15日までに申請しなければなりません。この申請をしていないと翌年の確定申告は「白色」でしかできません。

青色申告は詳しい帳簿が必要

賃貸経営は副業なので、年間どれだけの収入と支出があったかを記録する必要があります。まとめて記録しようとするとかなりの手間なので、こまめに帳簿付けをするといいでしょう。領収書についても失くさず保管しておかなければなりません。

青色申告で65万円の控除を受ける場合には「複式簿記」と言う帳簿付けの方法で難しくなりますが、青色申告でも10万円の控除で申告するケースは、白色申告のように簡易簿記の記入でOKです。

経費として計上できる費用は?

収入から経費を差し引いたものに税金がかかるため、必要経費として計上できるものは忘れずに計算しておかなければなりません。

固定資産税や都市計画税などの税金、建物のメンテナンスに必要な修繕費、火災保険や地震保険などの損害保険料、管理会社への支払い、共用部分の水道光熱費、ローンの利息、減価償却費などが「経費」として考えられています。ただ、白色申告か青色申告かによって計上できる経費の内容も異なるので注意しましょう。

経費を忘れずに計上することで、還付される金額にも影響が出てきます。アパート経営の規模が小さい、あるいは手間がかかるなどの理由で白色申告を選択する方もいるかもしれませんが、正しい知識を持って帳簿管理することで控除額の大きい青色申告でメリットが受けられます。

不動産は持っているだけでさまざまな税金がかかります。しかし、更地のまま遊ばせている土地に関しては税金の優遇措置はなく、マイナスのお金が支出として出ていくだけです。しかし、アパートなどの賃貸用の建物を建てると賃貸収入が入るだけでなく、税金面での優遇も受けられます。

申告の仕方、書類の書き方など税金の仕組みには難しい点も多いですが、これから賃貸経営をしていく間は避けられないものです。続けていくことで申告も慣れていくので、正しい知識を持って節税へと繋げていきましょう。

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