コインランドリー経営は地域貢献型ビジネスとも言われています。需要と供給が成り立つビジネスのため確実に利用者が見込め、高い収益性が見込める投資ビジネスです。
しかし、このコインランドリー経営も、必ず儲かるという確約はありません。失敗する人がいるのも事実です。それではコインランドリー経営は世間が言うほど安全なビジネスではないのでしょうか?
いいえそんなことはありません。コインランドリーの開業に当たって押さえておくべきポイントを理解しておけば、失敗する確率はグンと減り、収益性の高い安定したビジネスにすることができます。
そこで今回はコインランドリー開業時に押さえておくべきポイントを失敗例から検証し、成功するためのコツはどこにあるのかを解説していきます。
コインランドリー経営のポイント
コインランドリー開業に当たって押さえておいてもらいたいポイントは下記の3点です。
- 準備不足に注意
- 店舗の清潔感
- 安心して利用できる店舗
この3点は成功するための重要ポイントであり、失敗事例が多く存在するポイントでもあります。よって、この3点をクリアすることで失敗する可能性をグンと引き下げ、成功する可能性はグンと高くなってきます。
準備不足に注意
冒頭でも言ったようにコインランドリーは需要と供給さえ見込めれば、収益性の高いビジネスといえます。しかし、何もしないでは望んだ結果は得られません。そこでまず把握しなければならないのが市場状況。立地条件で需要が見込め、供給過多となっていないことが経営成功のための最低必要条件となります。
需要がなくては利用者は見込めませんし、需要がある地域でも近隣にコインランドリーが複数あっては利用者の取り合いとなってしまうので、利用者確保は難しくなります。また導入機器をどうするのかを決めるためにも、近隣の住民層を知ることが重要です。単身者が多いようなら小型洗濯機、家族世帯が多いならば大型洗濯機とニーズの高い洗濯機サイズが違うからです。
以上のように簡単に始められると思われがちなコインランドリー経営も、事前準備にどれだけの時間をかけるかが成功となるか失敗となるかの大きな分かれ道となります。
コインランドリーの利用者層は?
必ず儲かるコインランドリー経営なんて言われ方もしますが、コインランドリーの利用率は決して高い数値ではありません。あるアンケート調査によれば「よく利用している」と「たまに利用している」と答えたのは全体の15%と驚くほど低調な数値です。
この15%の利用者をいかに取り込むことができるのかが、まずはコインランドリー経営で重要なポイントになります。そこで注目してもらいたいのが年代別・性別に見る利用者層。どの年代別・性別が利用率を高いのかを知ることで、近隣地域にどれくらいの利用者が見込めるのかが判断できます。
その数値は下記のとおりです。
1位 60代男性(25%)
2位 30代女性(19%)
3位 40代女性(17%)
4位 50代男性(16%)
利用が多いと思われがちな20~30代男性の利用率は下記のとおりで、意外に少ないのが見て取れます。
- 20代男性 13%
- 30代男性 11%
これら数値から判断するとコインランドリー利用率が高いのは、家族世帯や老後世帯の多い住宅地域であると言えるでしょう。特に50代以上男性の利用率は半数近くの41%にも上ることから、高齢者が多い地域はコインランドリー開業に有利となります。
ここに家族世帯の主婦とみられる30~40代女性の利用者を確保できれば、この上ない立地条件を備えていると言えるでしょう。それを確認するためにも開業予定地近隣の世帯数と人口分布は知っておくべき重要必須データとなります。
近隣の競合店は?
また立地予定の近隣に競合店が何店あるのかも必ず事前調査が必要です。人口数や世帯数と比較して供給過多となる状況では満足な収益が期待できませんし、利用者確保のための競合店との差別化も重点的に行う必要が出てきます。
差別化を図るならば通常よりも多くの投資費用が必要となってくるでしょうし、投資したからといって期待通りの利用者確保が出来るとも限りません。よって、供給過多とならないかの調査も必要になります。
また供給過多でない場合でも競合店がどこにあり、どんな店舗なのかの調査は必要です。競合店の下記のような特徴を知ることで差別化ポイントを何処に置くのかを明確にできます。
- 利便性
- 快適性
- 設置機器の種類
まったくコインランドリーのない地域ならここまでの調査は必要ありませんが、今どきそんなうまい話はないでしょう。競合店をしっかりと調査することでより良い店舗作りが実現できます。利用者へのアピールのためにも競合店との違いやメリットを明確にしましょう。
店舗の清潔感
コインランドリーを使用したくない人が一番気にしているのが衛生面です。いろいろな人が使った洗濯機で洗濯物をするのは衛生面で不安だと感じるという意見が多く見られます。それほどコインランドリーには衛生面の安全性が求められています。
しかし、コインランドリーには各地方自治体で決められた厳しい下記規定があり、これをクリアしなければコインランドリーの開設は許可が下りません。
- 最低限備えるべき施設と設備
- 毎日の施設管理
- 設備の定期点検
- 1日1回の洗濯槽と乾燥機の清掃
- ゴミ箱の設置
- ネズミや害虫が発生しない環境づくり
これら規定には各地方自治体によって差はありますが、予想に反してコインランドリーは高い衛生管理が行われているのが実情です。しかし、そうは言ってもこのような行政指導があることを知っている人はごく一部でしょうし、店内に清潔感が感じられなければ衛生面に不安をもってしまうのも仕方のないことでしょう。
そう印象付ければリピーターは自ずと減り、利用者の増加も見込めない状況となってしまいます。そうならないためにも、清潔な店舗を維持できるよう十分な清掃を欠かさないことが重要です。
安心して利用できる店舗
コインランドリーの利用者層は高齢男性と主婦がメインです。
- 高齢男性(50代以上) 41%
- 主婦(30~40代) 35%
そこで重要となってくるのが安心して利用できる店舗環境の整備。特にコインランドリーは管理者不在の無人経営が基本ですから、高齢者や女性が1人で訪問しても安心して入れる店舗でなくてはなりません。よって、安心・安全を維持するための防犯対策はコインランドリー収益にも直結する重要事項となってきます。
そこで絶対に必要となるのが下記防犯対策です。
- 可視性の高い大きなFIX窓を設置する
- 防犯カメラを設置する
可視性の高い大きなFIX窓を設置する
FIX窓とは窓の開閉ができない壁にはめ込まれて固定された窓です。防犯性を高めるにはコインランドリー内が外からでも見てわかる可視性が求められるので、窓は大きい面積のものが必要となります。
そこでおすすめなのがFIX窓。FIX窓には下記のようなメリットがあるので、開閉式ではなくFIX窓を利用することで防犯性を高められます。
- 窓を大きな面積のものにできる
- 開閉しないので逃亡時に窓が使えない
開閉式の窓は窓枠部分が大きくなる上、地震や事故等で落下の心配があるので、大きな面積の窓が必要な場合には不向きとなります。しかし、FIX窓ならば窓枠部分のデザインがすっきりするだけでなく、はめ殺し窓ですから大きな窓でも落下する心配がなく、外からの視界もしっかりと確保できます。
また、開閉できないことから泥棒等の被害にあっても、その際の逃走口は出入り口のみとなります。後ほど説明しますがコインランドリーの出入り口には、防犯カメラが設置されているケースが一般的です。出入り口を1つにすることで犯人の人物特定がしやすくなります。
後で警察に捕まってしまう可能性が高いと印象付けることで、犯罪の発生率を抑制する効果も期待できるというわけです。
防犯カメラを設置する
犯罪発生率を抑制するのに欠かせないのが防犯カメラです。防犯カメラは洗濯物の盗難防止にも有効で、コインランドリーはコンビニのように視界があまりないため、防犯カメラを設置することで「ここは見つかりやすい」という意識が働き、大きな防犯効果を生み出します。
1台ではなく複数台のカメラを設置することで、さらなる効果が期待できるでしょう。
また深夜遅くまで営業していることから、不審者やコインランドリーを利用しない少年少女のたまり場となる可能性も考えられます。そうなれば本来の利用者はそのコインランドリーを敬遠して競合店に流れてしまいます。そうならないためにも防犯カメラで現場状況を確認し、早めに適切な処置を講じることもできます。
まとめ
コインランドリー経営は他の不動産投資よりも投資費用も安く、収益性もあり、簡単だという声もありますが、それもこれも利用者を確保できる環境を整えてこそです。
この点をよく理解せず、単に開店するだけでは失敗に終わってしまうことになるでしょう。
今回解説したポイントを念頭に置き、十分な前準備をして、利用者確保ができるコインランドリー経営を目指して下さいね。