アパート経営を成功させるための経費削減と確定申告手続き

アパート経営を成功させるための経費削減と確定申告手続き

経費計上することで利益を圧縮して、税金対策をするのは経営を成功させるためのひとつの手段ですが、これはアパート経営でも同じです。

しかし、経費は節税対策となるからという考えだけでは、アパート経営は心配に終わってしまいます。経費が大きくなると自ずと利益は減り、アパート経営が赤字転落となってしまう可能性が高いからです。

アパート経営を成功させるためには長期的には経費を極力削減して、黒字経営にしなければなりません。アパート経営は節税対策よりも黒字経営を維持することが目的ですから、本末転倒な結果とならないためにも経費削減は必要になってきます。

そこで今回はどうすればアパート経営を成功させる経費削減ができるのかを説明し、最終的な確定申告の手続きの方法まで解説します。

アパート経営に携わったことのない人でもわかりやすいように説明するので、今後アパート経営を検討している方はしっかりと理解しておきましょう。

アパート経営の経費について

まずは、アパート経営にはどんな経費が発生するのかを説明します。サラリーマンや公務員など会社勤めしかしたことのない人には聞きなれないものも多いので覚えておきましょう。

経費の種類

アパート経営で発生する主な経費は下記のとおりです。

  • アパートローンの支払利息
  • 減価償却費
  • 損害保険料
  • 旅費、交通費
  • 通信費
  • 宣伝広告費
  • 管理委託費
  • 水道光熱費
  • 修繕費
  • 各種税金

各経費の内容を簡単に解説します。

アパートローンの支払利息

アパート購入のために組んだローンの支払利息は、経費として計上できます。

しかし、その元金、アパート購入後も賃貸業務が開始されるまでのローン支払利息は経費計上することはできません。

減価償却費

毛パート経営の経費の中でも最も大きくなるのが減価償却費です。減価償却費とはアパートが時間の経過とともに古くなり価値が下がった分を数値化したもので、建物の耐用年数に応じて決められており、その額を毎年減価償却費として計上できます。

減価償却費は下記のどちらかの計算方法を用います。

  • 定額法→取得価格 × 定額法の償却率
  • 定率法→未償却残高 × 定率法の償却率

また耐用年数は鉄筋コンクリート(RC)で47年、重量鉄骨34年、木造で22年、そして1998年4月1日以後の取得物件は定額法のみの適用となります。

損害保険料

アパートには下記のような損害保険に加入するケースが多くなりますが、これらも経費として計上できます。

  • 火災保険
  • 地震保険
  • 賃貸住宅費用補償保険
  • 信用法相協会へのローン保証料

しかし、保険料を一括支払いすると当年分しか経費とできないので、この点は勘違いのないようにしましょう。

旅費、交通費

下記のような費用は旅費、交通費として経費計上できます。

  • 入居希望者の内覧時にかかった交通費
  • 物件管理のためにかかった交通費
  • 不動産取得のための物件視察にかかった旅費交通費

しかし、これら科目は経費として非常に使いやすいため、税務署から突っ込まれやすい経費でもあります。中には家族で出かけた際の旅費や交通費を計上する人もいますが、これは典型的にダメなケースとなるので注意して下さい。

また下記の費用も対象となります。

  • ガソリン代
  • 駐車場代
  • 高速道路使用料金

しかし、自動車が自家用の場合には、総経費の40%が経費計上の目安となります。

通信費

不動産会社や管理会社、そして入居者との連絡でかかった下記の費用は経費計上できます。

  • 電話代
  • 郵便代
  • インターネット通信費

携帯電話やパソコンをアパート経営専用としていない場合は、その費用の40%ほどが経費計上の目安となります。

宣伝広告費

仲介業者に支払う仲介手数料、インターネット等への物件掲載にかかった宣伝広告費は経費計上できます。

管理委託費

アパートの管理会社に支払う下記の費用はすべて経費計上できます。

  • 管理費
  • 修繕積立費
  • 入居者募集費
  • 賃貸管理代行手数料

水道光熱費

アパート経営者が負担している下記料金は経費計上できます。

  • 水道代
  • 電気代

修繕費

入居者が退去した際に発生する原状回復のための下記のような交換、修繕費用は経費計上できます。

  • 内装工事費
  • エアコン交換費
  • 給湯器交換費

しかし、原状回復ではなく、リノベーションなど資産価値を高めるために使用された費用は資本的支出となるため、修繕費としてその年に経費の一括計上はできません。減価償却費のように定められた期間内に分割して経費っ形状することになります。

各種税金

アパート取得や保有によって発生する下記の税金、契約時にかかった印紙代は経費として計上できます。

  • 不動産取得税
  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 登録免許税
  • 事業税(アパート経営が副業ではなく、事業となる場合)

しかし、所得税と住民税は経費に計上することはできません。

経費に計上できないもの

先ほどの経費の説明の中でもいくつかは紹介しましたが、補足として経費計上できないそれ以外いのものを挙げておきましょう。その主な科目は下記のとおりです。

  • アパート売却にかかった費用
  • 福利厚生費
  • 駐車違反等の罰金
  • 領収書のないもの
  • 家族に支払う給与

それではこれら科目について簡単に説明していきます。「経費として認められても」と思う科目も含まれているので、これら科目はしっかりと押さえておくようにしましょう。

アパート売却にかかった費用

アパート経営から手を引く際にはアパートを売却することになりますが、その売却時にかかる下記の費用は経費としては計上できません。

  • アパート売却時の仲介手数料
  • アパート売却にかかった費用
  • アパート売却時に支払った立ち退き料
  • 土地売却のためにかかった建物の取り壊し費用

その上、売却によって利益が出た場合には、それに所得税がかかる点をあわせて理解しておきましょう。

福利厚生費

個人事業主の場合には家族以外の従業員がいなければ、福利厚生費という名目で経費計上することはできません。

これを知らずに家族旅行を福利厚生費で経費計上する方は少なくありません。この点は勘違いしないようしっかりと覚えておきましょう。

駐車違反等の罰金

内覧者訪問など、アパート経営と判断される業務中に犯した交通違反などの罰金も経費に計上することはできません。

こういった罰金刑は下記の2つに分類されますが、すべて経費として計上することはできないのです。

  • 科料 刑法において罰せられる刑の1つで、軽犯罪に科せられる財産刑
  • 過料 国、地方公共団体が行政上の刑罰に科す金銭罰

領収書のないもの

仕事関連の香典代や、電車やバスなどの交通費のように領収書が受け取れないものもありますが、支払ったという事実が証明できれば経費に計上することはできます。

しかし、難易も証拠がないものばかりを経費計上すると、税務署から疑われて経費として認められないケースも出てきます。経費計上するためにも香典代ならば葬儀案内の郵便物といったように、何らかの証拠となるものを残しておくようにして下さい。

家族に支払う給与

青色事業となる個人事業主の場合には必要条件を満たせば経費計上できますが、基本的には整形を共にする家族や親族に支払う給与は経費計上することはできません。

経費を抑えるポイント

それではあアパート経営で発生する経費にはどんなものがあるのかを理解してもらったところで、次は本題の経費を抑えるポイントについて説明していきます。

経費削減でまず抑えておかなければならないのは下記の2点です。

  • 減価償却費をしっかり管理する
  • 光熱費対策を行う

これら2つは適切な対策を行えば大きな経費削減ができるので、しっかりと押さえておくようにしましょう。

減価償却費をしっかり管理する

先程説明した減価償却費はしっかりと管理することで、賢く利益計上することができます。

主な減価償却費はアパート物件となってきますが、下記のような設備も減価償却費として計上することが可能です。

  • 電気設備
  • 給排水設備
  • ガス設備
  • 消火設備
  • 庭園
  • 看板
  • エアコン
  • インターホン
  • 郵便箱
  • 洗濯設備
  • 駐輪設備

しかし、ここで注意して欲しいのが計上方法です。減価償却費は決して低い額ではないので、できれば収入の多い時期に経費計上した方が黒字経営異必要となる効率的な経費計上となります。上記設備を建物と合算して経費計上してしまうと収入のない時期まで一定の経費を計上することになってしまいます。

そこで行って欲しいのが上記設備を建物と合算せず、設備ごとに計上して収入が多い時期に経費として利用できる償却プランを立てることです。

現在減価償却には「小学減価償却資産の特例」があり、30万円未満の場合には購入または使用開始した初年度に一括償却することがで、年間300万円までこの制度を利用することができます。

アパート経営は経営当初の方がアパートの経年劣化がないため、家賃と入居率が高く、収入が多くなります。よって、この時期に多くの経費を計上した方が利益圧縮でき減価償却の計上を賢く活用することができるのです。

一度アパートと合算したものを変更することはできません。この点をよく理解して減価償却費をしっかり管理して賢い経費計上にするようにしましょう。

光熱費対策を行う

生活に欠かすことのできないガス、電気、水道費は見直すことで大きな経費削減ができます。

都市ガスからプロパンガスへの切り替え

都市ガスからプロパンガスにすることで経営者は大きなメリットを受けられる可能性が出てきます。一般的にはプロパンガスは都市ガスよりも高いという印象があるので、入居者募集を考えて都市ガスにする経営者は少なくありません。

しかし、プロパンガスを供給する会社は限定されている都市ガス会社よりも多いため、一概に都市ガスの方が安いとは言い切れません。しかも、全国に数万件もあるプロパンガスの供給会社は常に過当競争にさらされているので、契約するとなれば下記のような大きな付帯サービスを受けられるケースも多いです。

  • 給湯器の交換
  • エアコンの交換
  • キッチンリフォーム
  • 風呂の追い焚き機能追加

これら設備を無償で提供してくれるだけでなく、契約時には販売奨励金を支給してくれるところまであります。受けられるメリットはお住まいの地域にあるプロパンガスの供給会社のサービス傾向にもよりますが、上記のような設備提供が受けられるのであれば、経費をかけることなく物件価値を上げることができます。

となれば一度は検討してみるだけの価値はありますよね。

太陽光パネルの設置

また太陽光パネルを設置することで下記効果を生み、経費を削減することもできます。

  • 自家発電による電気代の節減
  • 発電した電力販売による収入

しかも太陽光パネル購入には自治体から補助金を受けることもでき、ローンを組むこともできるので、購入資金に頭を悩ませる必要もないでしょう。

井戸水の利用

アパートを新築する場合、建設予定地の敷地前の道路まで水道管がきていなければ、水道管の引き込み費用が掛かってきます。しかし、建設地で井戸水の利用が可能ならばこれら引き込み工事の費用は必要ありません。

また、井戸水の利用が可能ならば水道代の支払いが発生しないため、入居者募集にも大きなプラス材料となってきます。

確定申告手続き

アパート経営の所得に対しては所得税が発生するため、その納税のために確定申告を自ら行うことになります。そこで最後に確定申告をしたことがない方のためにも、その手続きについて簡単に解説します。

確定申告していおくことで損益通算を利用して本業の給与所得とアパートの相殺が可能となるので、赤字になった場合には税金の還付を受けることができます。これはアパート経営における節税方法の一つですから、滞りなく申告できるようしっかりと覚えておきましょう。

確定申告は青色申告がおすすめ!

申告方法には下記の2つがあります。

  • 青色申告
  • 白色申告

申告方法は下記のように節税の優遇措置のある青色申告の方が有利です。

特別控除

65万円が特別控除そして経費計上できる(事業規模の場合)
10万円が特別控除そして経費計上できる(事業規模でない場合)

経営者給与 

青色専従者給与として、給与全額を経費計上できる(事業規模の場合)

損失繰越

損失(赤字)を3年間繰越でき、前年に繰戻して税金の還付を受けられる

確定申告書の作成から提出までの流れ

確定申告書は毎年2月上旬から3月中旬に前年度のものを提出しなければなりません。納付期限までに税金が収められていない場合には、原則として年率7.3%の延滞税がかかるので遅れずに提出しましょう。

申告時に必要となる書類は下記のとおりです。

  • 確定申告書(確定申告書B(第1表、第2表)と所得税青色申告決算書(不動産所得用))
  • 源泉徴収票
  • 不動産売買契約書
  • 譲渡対価証明書
  • 管理費と修繕積み立て金が分かる書類(通帳など)
  • 家賃送金明細書
  • アパートのローン明細書
  • 不動産取得税の納付書

確定申告を始める際には、まずこれら必要書類の収集から始まり、その後は下記の流れとなります。

  1. 確定申告書の作成(確定申告書B(第1表、第2表)と所得税青色申告決算書(不動産所得用))
  2. 確定申告書を税務署に提出
  3. 納税、税金還付を受ける

上記のように確定申告自体は難しいものではありません。一番面倒となってくるのが確定申告書の作成でしょう。しかし、やり方を一度経験すれば次からはそんなに難しいものではありません。

しかもこの確定申告では年間のアパート経営利益を実際の数字からチェックできます。今後の目標も立てやすくなるので、確定申告後には今後の事業計画を再検討するのもいいでしょう。

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